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石ころコロコロ

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映画 君のためなら千回でも

2007年のアメリカ映画 マーク・フォースター監督作品
「君のためなら千回でも」をDVDで鑑賞しました。
原題は「The Kite Runner」
アフガニスタン出身のカーレド・ホッセイニの
ベストセラー小説の映画化です。
演技経験のないアフガニスタンの子供たちが出演しています。
君のためなら千回でも・・・
シンプルな言葉が心に響く素晴らしい映画でした。
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舞台は1970年代
ソ連侵攻前の平和なアフガニスタン、カブール。
裕福な家庭の息子、12才のアミールは
お話を作るのが得意な男の子。
母は出産と同時に亡くなり、厳格な父に育てられています。
母を自分のせいで死なせてしまったと思っているアミールは
父に疎まれていると不安を抱いていて
父の前ではいつも頼りない男の子でした。
そんなアミールを支えてくれたのが
召使いアリの息子ハッサンでした。
ハッサンは一つ年下で、働き者で知恵と勇気にあふれた男の子。
ハッサンにも母親はいませんでした。
身分の違いにもかかわらず小さい時からふたりは
兄弟のように仲良し。
一緒に映画を観に行ったり、字の読めないハッサンに
アミールが本を読んであげるシーンなど
ふたりの友情は生涯続くかのように見えました。

カブールの子供たちの冬のイベントは凧揚げ合戦。
活気あるカブールの街の上空を、自由に舞う凧のシーンは
美しくて切なくて胸が熱くなります。
空には国境もなくて、大きくて広くて青い。

凧揚げ合戦で見事に優勝したアミールたち。
アミールが切った凧をハッサンが拾いに行きます。
「必ず取って来て!」
「君のためなら千回でも!」と・・・

が、なかなか帰ってこないハッサンを
探しに行ったアミールが見たものは・・・
あまりに衝撃的なシーンでした。

この事件がふたりの人生を大きく変えてしまうのです。
優しいけれど臆病で卑怯なアミール。
見て見ぬふりをしたアミールは、自己嫌悪から
許しがたい嘘をついてハッサンを遠ざけようとするのでした。
ハッサンはアミールの仕打ちに抵抗も否定もぜず
父親のアリとアミールの家を出て行くのでした。

時を同じくしてソ連軍がアフガニスタン侵攻を決行。
再びハッサンと心を通わすこともなく
罪の意識を抱えたままアミールは、父とアメリカへ
亡命するのでした。 

2000年、サンフランシスコ。
卒業、結婚、父の死、いろいろあったけれど
小説家を目指し、ささやかな幸せの日々を送るアミール。
子供の頃からの夢だった自分の本が出版された日
運命を変える一本の電話が鳴りました。
それは父の親友でもあり、アミールに物語を書くことを
勧めてくれた恩人、ラヒム・ハーンからでした。
今は病気療養のためパキスタンに住んでいるラヒム・ハーン。
死期を悟った彼はアミールに重大な真実を伝えるため
「情勢は最悪だが、故郷に戻らなければならない」言うのです。
「もう一度やり直す道がある」と電話を切りました。

アミールは、ラヒム・ハーンの言葉に従いパキスタンへ。
久々の再会でラヒム・ハーンから聞かされた衝撃の真実・・・
それはハッサンの死と、ハッサン家族のその後でした。
ハッサン夫妻はタリバンによって銃殺され
ひとり息子は孤児院へ送られたというのです。
息子の名前は「ソーラブ」
それは昔、アミールが読んでくれたハッサンお気に入りの
物語の名前でした。
そして、アミールはラヒム・ハーンから
アミール宛のハッサンの手紙を受け取るのでした。

それから、もうひとつ重大な真実。
アミールとハッサンは兄弟だったと告げられるのです。
人格者で立派なアミールの父が召使いのハッサンの母と・・・
いままで信じていた父の嘘に
アミールは狼狽えるしかありませんでした。
父のハッサンへの接し方や、ハッサン親子が家を出て行くのを
止められなかったのも、そんな秘密があったからなのだと納得。
その当時の男には名声や名誉がなにより大切だったのだと
ラヒム・ハーンはアミールを宥めるのです。

アミールはハッサンからの手紙を開きます。
ハッサンが独学で読み書きを覚えて書いた手紙。
ハッサンと息子の写真も添えられていました。
手紙にはアムールへの信頼の気持ちと
息子ソーラブが善良で自由な人間に育つこと
再びカブールが花で溢れ、音楽で満ちる日を
そして大空に凧が舞う日を夢見ると、綴られていました。

アミールはカブールへ行くことを決意します。
ハッサンの息子を助け出すために
自らの罪を償うために
もう一度やり直す道を突き進むのでした。

タリバン政権下の故郷カブールに待っていたのは
変わり果てた街並みと、残酷なほど過酷な現実でした。
ソーラブを探して、たどり着いた廃墟のような粗末な孤児院。
院長の男から聞かされたのは
タリバンの将校が小銭をもって子供を買いにくる話。
「認めているのか?」
「ひとり連れて行かれれば、他の子供たちが助かる」
院長を責めることは誰にもできません。
ソーラブも売られていったひとりでした。

タリバンのアジトについにやって来たアミール。
ソーラブの救出劇の緊迫感や悲惨さには胸が詰まります。
タリバンの幹部の男は、昔、ハッサンを傷つけた少年でした。
何とか無事にタリバンのアジトからソーラブを救出。
「両親が死んでよかった、こんな汚れた僕を見せたくない」
ソーラブの言葉が胸に突き刺さります。辛すぎます。

ソーラブは無事アメリカへ行くことが出来たけど
残された200人の孤児たちはどうなるのでしょう?
アミールはソーラブを救うのがやっとでした。

ラストシーンの演出も素晴らしいです。
アメリカでの生活に心を開かないソーラブを
アミールは凧揚げに誘うのでした。
アメリカの空を舞う凧、許され自由になった魂。
昔、ハッサンが落ちる凧を追ってくれたように
今度はアミールがソーラブのために走るのです。
「君のためなら千回でも」と振り返りながら・・・
ソーラブの微笑んだ顔がいつまでも心に残りました。
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今も、この時、この瞬間にも、
悲惨な状況の中で生きている子供たちがいることに
無関心ではいられません。
シリアで、銃弾の犠牲となった
日本人女性ジャーナリスト、山本美香さんのニュースは
とても悲しく残念でした。
山本さんの死が無駄にならないよう、一日も早く
子供たちが悲しみの涙ではなく
生きる歓びに満ちた笑顔のこぼれる日が来ることを
願わずにはいられません。

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by ishikoro-b | 2012-08-30 00:48 | 映画 | Comments(2)
Commented by キャリオ at 2012-08-30 13:12 x
今も世界中のどこかで戦争があり、罪もない人々が不幸な目にあっている。
悲しい現実ですね。
アフガニスタンでのドラマとシリアの内戦がかぶって映りますね。
Commented by ishikoro-b at 2012-08-31 22:08
キャリオさま。
戦争のない時代に生まれてきたことに感謝です。
これからもずっと平和であることを祈るばかりです。
平和ボケも怖いですけどね。
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