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石ころコロコロ

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カテゴリ:映画( 34 )

映画 再び「男と女」

今年最初の映画はラブストーリー不朽の名作「男と女」でした。
(制作50周年記念デジタル・リマスター版)
もう50年も月日が経っていたとは・・・
岡山シネマクレールにて鑑賞しました。

DVDを借りて何度も観た映画だったけれど
(前回2012年のレビューもよろしかったらどうぞ。)
大スクリーンで観る「男と女」はやっぱり格別!
おなじみフランシス・レイの甘美なメロディを聴けば
私もにわか恋する女!
情感あふれる美しいカメラワークに身も心もとろけてしまうのでした。
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愛する夫を失った辛い過去を未だ忘れられないでいる女、アンヌと
同じく妻に先立たれた男、レーサーのジャン・ルイ。
運命の出会いは同じ寄宿舎に息子と娘を預けていることでした。
次第に惹かれ合うふたり・・・
過酷なラリーで優勝したジャン・ルイにアンヌから電報が届きます。
「ブラボー、愛しています」
アンヌに会うために疲れきった体で車を走らせるジャン・ルイ。
逸る気持ちを代弁するかのようなワイパー。
そして駆けつけた海辺。砂浜で戯れるアンヌと子供たち。
駆け寄って抱き合うシーンがたまりません。
ふたりの子役の存在も新鮮で愛らしく、セリフもたぶんアドリブ?
レストランでの親子の微笑ましいやりとりや
みんなで船に乗るシーンなど「男と女」に素敵なパパとママの
魅力もプラスされて大人の恋をより味わい深いものにしてくれるのでした。

すべてが上手くいくかのように見えたふたり・・・
肌を重ねる男と女の美しいこと。
しかしジャン・ルイの腕の中でアンヌの脳裏には
幸せだった夫との日々が去来するのでした。
そしてふたりは別れてしまうのです。

別れてはみたけれど、思い出すのはふたりで紡いだ幸せの瞬間。
最後のジャン・ルイのサプライズは、映画の最高の贈り物!
このシーンがあるからこの映画は不滅なんですね。

あらすじだけ聞けばごく平凡、されど珠玉のラブストーリー。
誰かを好きになるのは生物としてのいちばんシンプルな行為。
男と女でも、男と男、女と女でも、人を愛し愛される人生の
なんと尊く素晴らしいことか。
私にもこんな心ときめく頃があったと思い出をたぐり寄せつつも
振り返ってみれば、そんな時間も流れ星のように儚く過ぎ去って
人の一生の短さを思うと切ない気持ちになります。
でもね・・・
だからこそ人生がたまらなく愛おしく感じられるのでしょう。

余談ですが
小沢健二さんの「LIFE]というアルバムの中に
「愛し愛され生きるのさ」という曲があって(彼の詩の世界が大好きです)
それはずっと私の生きていくテーマでもありました。
その中にこんな詩があります。

「いつだって可笑しいほど誰もが誰か 愛し愛されて生きるのさ
それだけがただ僕らを悩める時にも 未来の世界へ連れてく・・・」

さあ一度っきりの人生、皆さんも愛し愛され生きましょう。
男がいてもいなくてもね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
監督 : クロード・ルルーシュ
脚本 : クロード・ルルーシュ ピエール・ユイッテイルヘーベン
音楽 : フランシス・レイ
原題 : Un nommer et une femme
製作年/国 : 1966年 フランス
出演 : アヌーク・エーメ
   ジャン=ルイ・トランティニャン
   ピエール・バルー
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by ishikoro-b | 2017-01-06 15:36 | 映画 | Comments(0)

映画 さよなら子供たち

1987年のフランス映画、ルイ・マル監督の「さよなら子供たち」を
観ました。私が初めてフランス映画の魅力を知ったのが
ルイ・マル監督の「地下鉄のザジ」・・・
「死刑台のエレベーター」も有名ですね。
そのルイ・マル監督の「さよなら子供たち」も、悲しい物語ですが
少年の感性が瑞々しく描かれていて、私の大好きな作品です。
以前、幸運にもBSで放送されて録画したものを繰り返して観ていますが
フランス映画に出て来る少年ってなんでこんなに美しいの、と
観るたびに思ってしまいす。

ネタバレ注意!
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舞台はナチス占領下のフランス。
戦火のパリから、カトリック僧院の寄宿学校に疎開した少年の
悲しくも美しい一冬の物語。
ルイ・マル監督の12歳の時の体験を綴った自伝的作品です。

1944年、パリの駅のホームから映画は始まります。
休暇を終え、疎開先の寄宿学校へ戻るジュリアンは12歳になるのに
見送りに来た母親に行きたくないと駄々をこねる甘えん坊。
母親の付けたおでこの赤いキスマークが可愛いです。

列車の音と、車窓から見える寒々とした風景が
母親と別れた後のジュリアンの不安な心を映し出し
シューベルトの「楽興の時」のピアノの音が
ジュリアンの心に寄り添うように静かに流れるのでした。

ある日、寄宿学校に3人の少年が転入してきます。
その中のひとり、ボネという少年がジュリアンのクラスにやってきました。
どこか打ち解けないボネに、歓迎の挨拶代わりのイジメごっこが始まり
ジュリアンもまた他の生徒と同じようにボネに冷たくしたりするのでした。
しかしボネは成績優秀でピアノも上手。
それまで優等生だったジュリアンのライバル意識をくすぐるのでした。
ベッドが隣同士で読書の趣味が同じなのになかなか仲良くなれないふたり。
みんなにいじめられてもボネにとって学校は
束の間の楽園のような場所でした。

裕福な家庭の子供たちが暮らす寄宿学校。
校長先生のジャン神父をはじめ職員もみな良心的です。
子供たちが勉強したり無邪気に遊んだりしている姿だけを見ていると
戦争の最中であることを忘れてしまいそうになりますが
空襲警報や停電、食糧難や寒さ、時折学校にやって来る義勇兵や
ドイツ兵の姿など、ここにも例外なく戦争の影が
忍び寄って来ているのでした。

給食の豚肉を食べないボネ。夜中のお祈りなど、ボネのすることは
普通の男の子と少し違います。
校長先生のボネに対する態度もなぜか匿っているような印象。
不思議に思ったジュリアンは好奇心から
ボネの私物を盗み見してしまうのでした。
そしてボネはユダヤ人で、この学校に匿われていることを知るのです。
と言っても、ジュリアンにはまだ
ユダヤ人がなぜ身を隠さねばならないのか、わからずにいたのですが。

次第に打ち解けて仲良くなっていったふたり。
真夜中の懐中電灯で一緒に読んだ本、ピアノの連弾や
大笑いして楽しんだチャップリンの映画・・・
しかし、そんな日々は長く続きませんでした。
密告によってボネたち3人と、ボネ達を匿った罪で校長先生も
ゲシュタボに捕らわれてしまうのでした。

中庭に集められた生徒たちの前を校長先生やボネたちが
連行されていきます。
誰からともなく「さよなら神父さま」という声が聴こえ
その声が次々と広がっていきます。
そして校長先生も答えます。
「さよなら子供たち、またな」と。

そして裏門を出る直前にジュリアンの方を振り向くボネ。
ボネに「さよなら」と小さく手を振るジュリアン。
なぜ?何もしていないのに・・・
理不尽な光景が理解できないでじっと見つめるジュリアン。
ジュリアンの瞳がだんだん潤んでいく最後のカットも
心を揺さぶるものがありました。
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ボネたちはアウシュビッツで、校長先生はマウトハウゼンで死亡。
最後にルイ・マル監督自身の声でナレーションが入ります。

「私は死ぬまで、あの1月の朝を忘れない」

生涯心に刻まれた永遠の別れの朝のこと。
監督として世界的な名声を得た後の55歳になって撮った作品と知って
驚きました。どんな映画の撮影中にも、自分自身の人生を
もう一度見つめ直すように、少年時代の体験を映画化する構想を
ずっと温めていたのでしょう。
残虐なシーンなく戦争の悲劇を伝える手法も、そうした年月が
余計なものを取り除き、研ぎ澄まされた純度の高い
映画の仕上がりに繋がったのかもしれません。

宗教を超えてボネたちを守ろうとした校長先生のジャン神父。
聖体拝領の日の説教にもこの映画のメッセージが込められています。
世の中は反目と憎しみに満ちている。
嘘や裏切りが横行し、信者同士が殺しあっている。
だが、利己主義や無関心は許されない。
物質的豊かさは魂を堕落させる。
冨は人間を不誠実にし、軽蔑すべき存在に変える。
持たざるものの怒り尊大な冨に向けられる。
信者の一番大切な義務「慈悲」を忘れぬように
悪をもって悪に対するな。
飢えた敵には食事を、渇いた敵には飲み物を。
祈りをささげましょう。
被害者だけではなく加害者のためにも。

この映画の素晴らしいところは
ドイツ兵だけが悪人ではなく、フランス人の中にも親独義勇兵が
いてユダヤ人狩りをしていたということ。
寄宿生たちの料理番として働く、足が不自由で貧しいジョセフを
ジュリアンたちは闇取引などで都合よく利用していたこと。
ジョセフの密告も実はジュリアン達にも責任があるということも
ちゃんと描かれているのです。

戦争の悲劇だけでなく人間の本質をきちんと描いたルイ・マル監督。
ぜひおすすめの映画です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
原題:Au revoir les enfants
製作年:1987年
製作国:フランス・西ドイツ
監督:ルイ・マル
製作:ルイ・マル
脚本:ルイ・マル
出演:ガスパール・マネス/ジュリアン
   ラファエル・フェジト/ボネ
   フランシーヌ・ラセット/ジュリアンの母
   フィリップ・モリエ・ジュヌー/ジャン神父
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by ishikoro-b | 2015-08-12 17:55 | 映画 | Comments(0)

映画 Mommy/マミー

最近の音楽とかファッションとか、もう若い人にはついていけないと
つい尻込みしがちになりますが・・・
26歳のカナダの映画監督、グザヴィエ・ドランの才能は
毎回、そんな私の心を打ちのめしてくれます。
最初に見たのが「私はロランス」・・・これが衝撃でした。
性同一性障がいに悩む主人公と、恋人の女性との10年にわたる
切ないラブストーリーでしたが、何と言ってもその抜群の映像センス!
空から洗濯物が降ってくるシーンは、今も鮮やかに脳裏に甦ります。
23歳の時の監督作品と知り、若い才能に震えました。

それから、19歳での監督デビュー作「マイ・マザー」のDVDを借りて
昨年は映画館で「トム・アット・ザ・ファーム」も観ることができました。
作品ごとに進化し、名を高めていくドラン監督の想像力。
監督だけでなく俳優、制作、脚本、編集、衣装までこなすのですから
才能が迸るってこのことですね。
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そんな彼の最新作「Mommy/マミー」も期待を裏切らない完成度。
デビュー作「マイ・マザー」と同じ母と子の愛がテーマの作品です。
正方形のスクリーンサイズで見せる母と子の愛と葛藤の日々・・・
その窮屈な画面が、より濃密な母と子の関係を際立たせていました。
テーマは重いけれど、音楽の選曲も映像もスタイリッシュでオシャレ。
どのカットも一冊の写真集を開いているかのようでした。

物語の舞台は2015年、架空の国、カナダという設定。
そこで新政権による新たな法律のひとつが可決します。
それは発達障がいの子供を持つ親が、精神的肉体的に養育困難に陥った場合
法的手段を取らずに、子供を施設に入れる権利を持つというものでした。
(ネタバレ注意)
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ダイアンはシングルマザー。
15歳の息子スティーヴはADHD(多動性障害)で、情緒不安定になると
手が付けられないほど暴れるという問題を抱えています。
スティーヴは施設に入っていましたが、トラブルを起こしたことで
ダイアンはスティーヴとの二人暮らしを余儀なくされるのでした。
スティーヴを引き取ってからというもの、母と息子の言い争いは
絶えないけれど、落ち着いているときのスティーヴは優しく素直な少年。
ある日、彼は「Mammy」のスペル入りペンダントをプレゼントします。
しかし、万引きではと問いただすダイアンの言葉に切れたスティーヴは
ダイアンの首を絞めてしまうのでした。
息子を殴って逃げるダイアン・・・
突然攻撃的になる息子にダイアンは戸惑うばかりの日々でした。

そんな時、ふたりは近所に住む教師の女性カイラと知り合います。
精神的なストレスから吃音になってしまって休職中のカイラ。
ダイアンからスティーヴの家庭教師を頼まれたことから
ふたりとの関係を深めていくのです。
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カイラの存在でダイアンとスティーヴの関係にも変化が訪れます。
カイラの吃音もまた少しずつ快方に向かっていくのでした。
三人の、これですべて上手くいくかのような青空の下
ローラースケートに乗ったスティーヴは、自分を解き放つかのように
正方形の窮屈な画面をフルスクリーンに押し広げるシーンがあります。
観ているものの心にも、風が吹き抜けるような開放感。
スクリーンの画角で心情を表現するなんて・・・なんと心憎いセンス!
これは映画史に残る名シーンでしょうね。
どうぞこのまま幸せな日々が続きますように、と
祈らずにはいられませんでした。
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しかし画面はまた元の正方形へ。
スティーヴが施設にいた時に起こしたトラブルの訴状が届くのでした。
お金に工面するダイアン。そんな母の苦労も顧みず荒れて
自殺未遂までしてしまうスティーヴ。
追いつめられたダイアンは、とうとうある決心をするのでした。
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ピクニックと偽って楽しげにドライブする三人。
運転するダイアンの脳裏には、スティーヴが成長し結婚して
幸せになるシーンが浮かぶのでした。
切ない母の夢が、観るものの心を揺さぶり涙が溢れます。
その空想シーンには、またフルスクリーンが採用されて
大人になったスティーヴをグザビエ・ドランが演じていました。

トイレに行くと言って車を下りたダイアン。
トイレから現れたのは三人の男と一緒のダイアンでした。
激しく抵抗するスティーヴ。複雑な表情のカイラ。
最良と思った決断でしたが、ダイアンは深く苦しむのでした。

スティーヴは法に基づき施設で治療の道へ。
やがてカイラも夫の転勤で街を去ることになります。
ひとり残されたダイアン・・・
ダイアンの胸にはずっと「Mammy」のペンダントが・・・
切っても切れない母と息子の絆を象徴しているかのように
光っているのでした。

どの判断が正しいか、それは誰にもわからないことです。
母の愛だけで保護し続けることに未来はないということも確か。
それは「希望の選択」だったというダイアンに
母の強さと普遍の愛を見たような気がしました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
原題:Mommy
製作年:2014年
製作国:カナダ
監督:グザビエ・ドラン
製作:ナンシー・グラン、グザビエ・ドラン
脚本:グザビエ・ドラン
出演:アンヌ・ドルヴァル/ダイアン
   アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン/スティーヴ
   スザンヌ・クレマン/カイラ
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by ishikoro-b | 2015-06-29 00:12 | 映画 | Comments(0)

映画 博士と彼女のセオリー

車椅子の天才理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士と
彼を支え続けた妻ジェーンの半生を描いたイギリス映画
「博士と彼女のセオリー」を観ました。
ふたりの普通の人生を通して描かれるラブストーリーは
決して特別なものでなく観るものの心に深く沁み渡っていく
感動の物語でした。

(ネタバレ注意。)
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ホーキング博士のことは(難解な理論は別にして)
NHK BSの「コズミック・フロント」で何度か見て知っていましたが
映画で描かれる等身大のホーキング博士はとても魅力的な人でした。
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何と言ってもホーキング博士役のエディ・レッドメインが素晴らしい。
まるでホーキング博士を演じるために生まれてきたような俳優です。
決して衰えない崇高な知性と、徐々に自由を奪われていく体を
エディ・レッドメインは見事に演じきりました。
「ダークエイジ・ロマン 大聖堂」や「レ・ミゼラブル」など
不思議な存在感を放つ人だなと思って見ていましたが
こんな難しい役が演じられる俳優に成長していたとは・・・
この作品で見事アカデミー賞主演男優賞を射止めたエディ・レッドメイン。
オスカー像をにぎりしめ受賞の喜びを体中で表現していたのが
とても印象的でした。
これはALSと闘っている人々のためのもの、そしてホーキング家のもの。
毎日ピカピカに磨き大切にします、とスピーチ。
客席の最愛の妻に向かって「同居人が一人増えたよ」なんて
最後を粋に締めくくったりして、心憎いばかりの素敵なシーンでした。
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1963年、英国。
ケンブリッジ大学大学院で理論物理を研究するスティーヴンは
ある日パーティで文学を学ぶ美しいジェーンと出会い
恋いに落ちます。誰にでもある輝かしい青春の日々・・・
ふたりも例外ではありませんでした。
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しかし、ある日スティーヴンの体に異変が起るのです。
医師の診断の結果、難病ALS(筋委縮性側索硬化症)で
余命2年と宣告されるのでした。
絶望するスティーヴンでしたが、脳だけはその病気の
範囲外であることも知るのでした。
ジェーンとの別れを決意するスティーヴン。
しかしジェーンは彼と共に病気と闘うことを選び
ふたりは結婚するのです。
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やがて子供にも恵まれるふたり。
幸せな結婚生活のように見えましたが
その間にもスティーヴンの病気はどんどん進行していくのでした。
体の不自由な夫の介護をしながら子育てをするジェーン。
そんな中にあってもジェ−ンは天才物理学者としての
彼の頭脳を信じ誠心誠意支え続けるのでした。
スティーヴンは、ジェーンの励ましを受けながら論文を執筆。
彼の理論は世界的に認められていくことになるのです。
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余命2年の宣告には予想外の奇跡が用意されていました。
それは願ってもないことでしたが、ジェーンにとって
自分ひとりですべてをこなすことに限界を感じていたのも事実でした。
気分転換にと勧められて入った教会の聖歌隊。
ジェーンと音楽監督ジョナサンとの出会いが夫婦の関係を
少しずつ変えていきます。
ホーキング家にピアノの教師として出入りするようになった
ジョナサンはスティーヴンの介護がいかに大変かを知ります。
そしてジェーンに介護の手伝いを申し出るのです。
それはジェーンにとってまたとない申し出でした。
若くて健康で心優しくて力持ちのジョナサン。
スティーヴンもジョナサンを受け入れるのでした。
惹かれ合うジェーンとジョナサン・・・
スティーヴンも気付いていたはずです。

家庭内に他の男性が入り込むことはスティーヴンにとって
辛い決断だったことでしょう。
それでもジェーンを愛していればこそ、ひとりの女性として
ジェーンを自由にしてあげたいと思う彼の気持ちが
ひしひしと伝わってきて胸が熱くなりました。

終盤で描かれる介護士のエレノアとスティーヴンの関係も
きっとジェーンがスティーヴンに思いを残さないための
選択だったにちがいありません。
みんな決して憎しみあったりしなかったのは
ホーキング博士の説く万物の法則が人生にも美しく
働いていたからでしょうか。

別れてもスティーヴンとジェーンの友情は続くのでした。
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存命のしかも世界的に有名な物理学者の人生によくぞここまで
迫ったものです。決して美談のみに終始しない描き方が
ホーキング博士の豊かな人生をより際立たせているように感じました。
映画化に同意したホーキング博士とジェーンに感謝ですね。

映画のついでに、以前録画していたコズミック・フロントの
「ホーキング博士の宇宙のレシピ」を見返しました。
そこでホーキング博士は言います。
人は信じることを選べます、と。
物理学を信じるホーキング博士の結論は
宇宙を創造した神はいないということでした。
自然の法則に耳を傾けることは私たち自身の人生の意味を
見つめ直すきっかけを与えてくれます。
私たちの運命を決めるのは神ではないということ・・・
更に言えば天国も死後の世界もないってことです。
今ここにある一度っきりの人生だから素晴らしい。
それが人生のセオリーなのだと博士は教えてくれました。

それにしても神の領域に科学で挑む人ってどんな頭脳とセンスを
持ち合わせているのでしょう。
宇宙創成の謎を数式で表現しようとする理論物理学者たち。
それもシンプルかつエレガントな数式で・・・なんて言われたら
もう、目がお☆さまです。
宇宙は美しい秩序で構成されてるってことなんでしょうね。

岡山岡南シネマにて。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
監督 : ジェームズ・マーシュ
脚本 : アンソニー・マクカーテン
原題 : THE THEORY OF EVERYTHING
製作年/国 : 2014年 イギリス
出演 : エディ・レッドメイン/ホーキング博士
   フェリシティ・ジョーンズ/ジェーン
   チャーリー・コックス/ジョナサン
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by ishikoro-b | 2015-04-03 01:25 | 映画 | Comments(0)

映画 ストックホルムでワルツを

ジャズに詳しくはないけれど、ビル・エヴァンスのピアノが好きです。
中でも「ワルツ・フォー・デビー」は超お気に入りの曲。
時折LPレコードのジャケットを出して眺めたりしますが
もう針を落とすことはないのかと思うと寂しい気持ちになります。
昔々、深夜のラジオ番組でビル・エヴァンスの特集がありました。
DJのナレーションをちゃんと聴いていればその時ちゃんと
理解出来たのですが「モニカのワルツ」と曲名を紹介されたのに
ラジオから流れたのは「ワルツ・フォー・デビー」
それも女性のボーカルで・・・
その魅惑的な歌声にウットリしたのを覚えています。
でもなぜ「ワルツ・フォー・デビー」が「モニカのワルツ」?
今のようにネットで調べることも出来ず
ずっと疑問に思ったまますっかり忘れてしまって幾星霜・・・

先日観たスウェーデン映画「ストックホルムでワルツを」で
その霧が晴れました。「モニカ」はスウェーデン生まれの
女性ジャズシンガー、モニカ・ゼタールンドのことでした。
映画は北欧でモダンジャズが大流行した1960年代
幾多の困難にもめげずモニカがジャズシンガーとして
頂点を極めるまでの半生を描きます。

ネタバレ注意!
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ストックホルムから遠く離れた田舎町。
両親と5歳の娘と暮らすシングルマザーのモニカの夢は
一流のジャズシンガーになることでした。
電話交換手として働きながら、何時間もバスに乗り
ストックホルムまで好きなジャズを歌いに出向く忙しい日々。
いつか田舎町を出て娘とふたりで暮らせる日が来ることを
願ってたモニカでしたが、娘のことは両親にまかせっきり。
厳格な父はそんなモニカに母親業に専念するように言い
モニカの夢をことごとく否定するのでした。
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ある日、ストックフォルムのライブに
アメリカの著名なジャズ評論家がやってきます。
モニカにニューヨークで、それもトミー・フラナガン・トリオの伴奏で
歌うチャンスが訪れるのでした。

せっかくのニューヨーク公演でしたが客の反応はさっぱりで
新聞にも実力不足と書かれる始末。
ニューヨークで出会った憧れのエラ・フィッツジェラルドからは
「誰かのマネじゃなく、自分の気持ちを歌ったら」と批判され
傷心のままモニカは帰国するのでした。
ニューヨークでの評判は故郷にも届いており、父との確執は
ますます深まっていきます。

落ち込むモニカでしたが、ジャズへの思いは募るばかり。
そんな時、モニカはバンド仲間の助言によりスウェーデン語で
ジャズを歌うことを思いつくのでした。
挫折を経てはじめてスウェーデン語で歌う「歩いて帰ろう」は鳥肌もの。
モニカの歌声は次第にスウェーデンの人々の心を魅了していきます。
レコードも売れ、スウェーデンの歌姫としてスターダムに
のし上がっていくモニカ。
私生活では映画監督ヴィルゴットと恋に落ち、豪邸も手に入れて
念願だった娘との3人生活が始まるのでした。
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そんな幸福の時も束の間・・・
さらに名声を高めるために挑んだコンテストでしたが結果は最下位。
モニカは、酒を呑み、睡眠薬を乱用するようになります。
母親失格、そしてヴィルゴットとの関係も破局してしまいます。
ついに倒れてしまったモニカの元に孫娘を引き取るべく
父が駆けつけるのでした。

母親失格、身勝手でまわりの人を振り回す困ったモニカ。
苦悩と孤独の中、自殺まで図るモニカでしたが一命を取り留め
もう一度ジャズシンガーの原点に戻ろうと決意するのでした。
そして尊敬し憧れてやまないジャズピアノの巨匠、ビル・エヴァンスに
デモテープを送って共演を申し込むのです。
夢を決して諦めなかったモニカに音楽の神様は微笑みます。
それはビル・エヴァンスからの国際電話でした。

ビル・エヴァンスと同じステージに立つ夢が叶ったモニカ。
ビル・エヴァンスのピアノが奏でる「ワルツ・フォー・デビー」
リリカルなピアノにモニカのチャーミングな歌声が重なります。
「ワルツ・フォー・デビー」が「モニカのワルツ」となった瞬間でした。
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夢を追い求めるがゆえに手放した大切なもの。
歌の力でふたたびそれらをたぐり寄せたモニカ。
最後の父の和解の言葉、娘との暮らし、そしてそして
ひとりの女性としての幸せも待っているのでした。

映画を彩るのは「テイク・ファイブ」や「歩いて帰ろう」など
どこかで聴いたことのあるジャズのスタンダードの数々・・・
思わずニンマリ嬉しくなります。
「ワルツ・フォー・デビー」はもう言葉にならないほど。
「歩いて帰ろう」はエンドクレジットにも使われていて
幸せな余韻に浸りながら映画館を後にできました。
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モニカ・ゼタールンドを検索したらとてもきれいな人でした。
モニカ役の歌手のエッグ・マクナソンもモニカに雰囲気がそっくりで
彼女の歌唱力もまた、映画の魅力となっています。
60年代の北欧ファッションやインテリアも素敵でした。
サントラ盤、Amazonポチッしようかな。

岡山シネマクレールで。

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監督 : ペール・フライ
脚本 : ペーター・ビッロ
原題 : Monica Z
製作年/国 : 2014年 スウェーデン
出演 : エッダ・マグナソン/モニカ・ゼタールンド
    シェル・ベリィクビスト/モニカの父
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by ishikoro-b | 2015-03-20 00:42 | 映画 | Comments(2)

映画 最初の人間

1960年、自動車事故により46歳の若さでで急逝した
アルベール・カミュの未完の自伝的小説の映画化「最初の人間」を
DVDで鑑賞しました。一昨年映画館でも観たので2度目です。
カミュと言えば本棚の隅っこに「異邦人」が眠っていますが
カミュ自身の投影である小説家ジャック・コルムリを演じたのが
「クリクリのいた夏」からのお気に入りのフランス人俳優
ジャック・ガンブランですから見逃すわけにはいきません。
ジャック・ガンブランのもの静かで知的な佇まいは
カミュのイメージにぴったり。
回想シーンで少年時代を演じる男の子も魅力的。
その他のキャスティングも素晴らしいのです。
アルジェリアの空と海と土・・・美しい映像に人間の心情が
上手く重ねられて、その表現は文学的でさえありました。

フランス人でありアルジェリア人でもあったカミュ。
彼の描く「不条理」の現実は今日の世界に通じるものがあり
ひとりの小説家の苦悩や平和への願いが遺言のごとく
スクリーンから静かに熱く伝わってくるのでした。

ネタバレ注意!
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映画はフランスからの独立紛争に揺れるアルジェリアが舞台です。
1957年の夏、著名な作家ジャック・コルムリは大学での講演の
依頼もあって、今も老いた母がひとり暮らす生まれ育った地
アルジェリアへ帰郷します。
空港に降り立つとすぐに講演会場へ。
演台に立ったジャックは、アルジェリア人とフランス人の共存と
非暴力の理念を説くのですが、会場はヤジと怒号の嵐。
ジャックは裏切り者と激しく糾弾されてしまいます。
そんな中ジャックは「作家の義務とは、歴史を作る側ではなく
歴史を生きる側に身を置くこと」と静かにスピーチするのでした。

実家へ帰るのは危険との忠告にも耳を貸さず母の待つ家に帰るジャック。
その昔、祖母と母、叔父と一緒に暮らした小さなアパートに
母は今もひとり、慎ましく暮らしていました。
そんな母に「いつまでもきれいだね」と声をかけるジャック。
再会を喜ぶふたりに地中海の美しい陽光が降り注ぐ美しいシーンでした。
父は彼が生まれてまもなく第一次世界大戦で戦死。
父の存在を知らずに育ったジャックは、実家に残された父の写真を
見つめながら、いつしか少年の頃の思い出が脳裏に甦るのでした。
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祖母は独裁者のごとく厳格な人で、家の中の空気は
いつも張りつめていました。
お仕置き棒でジャックを折檻するシーンは見ている方も
身が縮まる思いですが、そんな祖母に連れられて行ったサイレント映画では
文字の読めない祖母に通訳するジャックの微笑ましいシーンも描かれます。

病院の下働きをしながら一家を支えてくれた優しい母。
病院で働く母を訪ねたジャックはベンチで本を読みながら
同じく母の仕事が終わるのを待っている男性に気付いたりします。
恋人なのか友人なのか、映画では見逃すほどのシーンですが
ジャックが少し大人になることを予感させる素敵なシーンです。
母もまた読み書きができませんでしたが
頭のいい子の義務はこの街を出ることだ、と広い世界へ
ジャックの背中を押してくれたのも母でした。

母の弟である叔父のこともジャックは大好きでした。
たばこの吸い方や父のことも教えてくれた気のいい叔父。
ジャックは学費を稼ぐため叔父の勤める印刷工場で働きます。
夜明け前に家を出る叔父とジャック。
ふたりの前に遺体を乗せた荷車を押す親子が通り過ぎていきます。
生と死、人生のすべてのテーマが凝縮されているような
悲しくも美しいシーンでした。
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貧しいながらも成績がよかったジャック。
子供は将来の大人の姿の萌芽を宿しているのだと
ジャックの才能を見抜き進学を薦めてくれたベルナール先生との出会い。
「神を信じる者も信じない者も好きになさい」と言ってくれた先生は
ジャックの第二の父的存在でした。

帰郷したジャックは身の危険を感じながらも
アラブ人居住区に足を運びます。
そこにはかつての級友ハムッドが住んでいました。
貧しくも誇り高く威厳のある表情は昔のままです。
ジャックがフランス人だというだけでケンカをふっかけられて
けれどなぜか憎めなかった小学校時代の思い出。
「我々に友情はなかった」とハムッドは当時を振り返りつつも
爆弾テロの共犯容疑で逮捕された息子アジズの無罪釈放を
ジャックに嘆願するのでした。

通りでは爆弾テロが起き一般市民が犠牲をなるのを
ジャックは目撃します。
そんな現実とは対照的に水着姿の少年ジャックが海岸の林の中を
抜けていく長回しの回想シーンが印象的でした。
人々が音楽やダンスを楽しんだり、木陰では母と
病院で会った男性が話をしていたり、それはジャックの思い描く
平和の心象風景だったのでしょうか。

アジズの無罪の証明のために政府機関に掛け合ったジャックでしたが
アジズは自ら死刑を受け入れるのでした。
アジズの死の知らせに、ジャックはラジオを通して
再び自分の理念を皆に呼びかけるのでした。

ラストの母とジャックが食卓を囲むシーンは
ずっとこの穏やかな時間が続けばいいのにと思わせるシーンですが
もしかしたら事故死した息子の幻覚のシーンだったのかもしれません。
ひとり残された母の姿が切ないです。
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未だ実現されない紛争のない世界・・・
民族や宗教、思想を乗り越えてお互いが共存しあえる世界をつくること。
どんな日常の些細な選択や行動でも、それが世界を変えていくことに
繋がると意識した時から、人は誰でもが「最初の人間」に
なれるような気がします。
乾いた大地に水が沁みわたっていくような素晴らしい作品でした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
監督 : ジャンニ・アメリオ
脚本 : ジャンニ・アメリオ
原題 : Le premier homme
原作 : アルベール・カミュ
製作年/国 : 2011年 フランス・イタリア・アルジェリア合作
出演 : ジャック・ガンブラン/ジャック・コルムリ
    カトリーヌ・ソラ/1957年の母
    ドゥニ・ポダリデス/ベルナール先生
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by ishikoro-b | 2015-02-13 15:27 | 映画 | Comments(0)

映画 パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト

台風一過の空の下、自転車こいでまた映画を観に行ってきました。
悪魔のヴァイオリニストと呼ばれたニコロ・パガニーニの半生を
描いた映画です。
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この映画が凄いところは、パガニーニを演じるのが
ドイツ人天才ヴァイオリニストのデビッド・ギャレット。
5億円ともいわれる名器ストラディヴァリウスで奏でる
超絶技巧の名曲の数々・・・
吹き替えなしの本物の演奏の迫力は、演奏シーンを
観るだけでも感動ものでした。
その上ヴァイオリンだけでなくベッドシーンも・・・
堂々たる演技力とカリスマ性は天才ヴァイオリニストの自信から
来るのでしょうか。
俳優デビュー作とは思えないほどの存在感を見せてくれます。
不道徳な男が美しいのです。
彼がいたからパガニーニの映画化が実現したのでしょう。
まずはデビッド・ギャレットが弾く「奇想曲」をご覧あれ。

19世紀のイタリア。
パガニーニはオペラの幕間のしがないヴァイオリン弾きでした。
聴衆の心を何とか捉えようとするするものの
聴衆は彼の演奏に見向きもせずおしゃべりばかり・・・
パガニーニは才能を認められず酒浸りの日々を送っていました。

ある日ホールでパガニーニの演奏を聴いた男ウルバーニは
彼の類いまれなる才能を見抜くのです。
そして強引にマネージャー契約を結ぶのでした。
凄まじいヴァイオリンテクニックで聴衆を魅了するパガニーニに
ウルバーニは「悪魔に魂を売り渡した」伝説をまとわせ
世界に売り出そうとするのでした。
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ウルバーニの目論みは大成功。チケットは飛ぶように売れ
パガニーニの人気はヨーロッパ中に広まります。
噂を聞いた指揮者ジョン・ワトソンは私財を投げ売って
パガニーニのロンドン公演を企画するのでした。

霧(スモッグ)に煙るロンドン。
パガニーニの滞在先には女性ファンが殺到。
一方で「悪魔の崇拝者」「女を惑わす男」とパガニーニを非難する
女性人権団体の抗議デモ隊も加わってパガニーニの行く先は
大混乱が巻き起こるのでした。

そんなパガニーニに指揮者ジョン・ワトソンは自宅の一室を提供します。
パガニーニはここでワトソンの娘で歌手志望のシャーロットと出会い
ふたりは恋に落ちるのでした。
シャーロット役、アンドレア・デックの歌うアリアと
パガニーニ役、デヴィッド・ギャレットのヴァイオリン。
このシーンの素晴らしいことといったら・・・
アリア「愛しい人よ」・・・映画のワンシーンも垣間見ることができます。

この映画の史実と伝説を巧みに盛り来んだ演出は見事でした。
酒に女、ギャンブルと何かとスキャンダラスなパガニーニ。
公演の前日に大切なヴァイオリンを平気で賭けに投じるのです。
楽譜を公開しなかったパガニーニの秘密主義も
悪魔的なイメージに繋がったのかもしれません。
パガニーニの演奏中に必死に譜面を書き起こす聴衆の姿も印象的でした。
そしてパガニーニの風刺画でおなじみの一本弦奏法。
酒場で一本になった弦でのデヴィッド・ギャレットの
曲弾きシーンも圧巻でした。

さてさて
初のロンドン公演の大成功をおさめたパガニーニでしたが
悪魔に魂を売った男の恋の結末はいかに?
ウルバーニとの契約を解いたその後のパガニーニは?
映画館でぜひご覧ください。
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私のパガニーニ体験といえば1964年のパガニーニ国際コンクールで
日本人初、第2位入賞を果たした日本を代表するヴァイオリニスト
久保陽子さんの演奏を岡山で何度か聴く機会に恵まれました。
劉生容記念館のホールや醍醐桜の樹の下、西大寺観音院の講堂や
玉井宮の拝殿でのコンサートなど、久保さんの傍で
ストラディヴァリウスが奏でるパガニーニの24の奇想曲の
何曲かを堪能できたことはとても幸せなことでした。
演奏の前後にはパガニーニの曲が演奏者にとっていかに
難易度の高い曲か、超絶技巧を丁寧に解説して下さって
クラシックに疎い私にとってはとても興味深いものでした。
超絶技巧と聞くだけで、最初は尻込みしていた私でしたが
9番や24番など実に耳に馴染む旋律で、24の奇想曲は
テクニックだけでなく人の心を捉える深い音楽性も
持ち合わせているが故に名曲なのだと遅ればせながら思ったのでした。

それにしてもヴァイオリンの音色は何て表現力豊かで魅惑的なのでしょう。
私は演奏者がヴァイオリンを構えて最初の一音を出す前の一瞬の間が
たまらなく好きです。
それは天から音楽が降りて来る一瞬なのかもしれません。
デヴィッド・ギャレットのヴァイオリンの一音の前の一瞬・・・
鳥肌ものです。セクシーです。
岡山シネマ・クレールは8月22日金曜日まで。

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監督 脚本 撮影 : バーナード・ローズ
制作総指揮 音楽 : デビッド・ギャレット
原題 : Paganini: The Devil's Violinist
製作年/国 : 2013年 ドイツ
出演:デビッド・ギャレット
   ジャレッド・ハリス
   アンドレア・デック
   クリスチャン・マッケイ
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明日から帰省のため、しばらく留守にします。
いい映画を観たから田舎で待ち受ける様々な試練にも
きっと耐えられるでしょう。(笑)
皆様もお体に気を付けて、素敵な思い出をたくさん作って下さいね。

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by ishikoro-b | 2014-08-12 13:32 | 映画 | Comments(2)

映画 世界の果ての通学路

私が子どもの頃住んでいた村には学校がありませんでした。
幼稚園も小学校も隣の町まで山を越え、子どもの足で片道約1時間30分
山道をテクテク歩いて通いました。
小学1年生で転校するまで、雨の日も雪の日も集団登校の子の後ろに
くっ付いて、今思うとよく歩いたものです。
幼稚園はお寺で、住職夫妻が先生の寺子屋みたいなところでしたが
私は幼稚園の2年間、1日も休まず通ったのでした。
皆勤賞は雑誌の付録だったことをよく覚えています。

通学路の楽しみは何と言っても帰りの道草でした。
小さな蕗の葉っぱを丸めては湧き水を掬い喉を潤し
大きな蕗の葉っぱを急な雨の傘代りにしたり
雨宿りのお堂で聞いたきつねに騙される話や
人浚いに酢を飲まされてサーカスに売られる話は
興味あるものの子ども心に恐怖でいっぱいでした。

これからご紹介する映画を前に私の通学路の体験など
恥ずかしいかぎりなのですが
それでも一コマ一コマが映画のワンシーンのように大切な思い出で
道草の中にも学ぶことがたくさんあったと心から思えるのです。
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映画「世界の果ての通学路」は世界の辺境に住む4組の子どもたちが
遠く離れた学校へ通う姿を追ったフランス発のドキュメンタリー映画です。

学ぶことはここから始まっている・・・それを示唆するかのように
ケニアの少年が地面をかき分けると水が湧き出してくるシーンから
映画は始まります。
少年は湧き出した水を掬って飲み、顔を洗います。
そして家まで水を汲んで帰り、洗濯をしてから学校へ行くでした。

ケニアの少年ジャクソンは11歳。
毎日妹を連れて片道15キロ、2時間、野生生物との遭遇を
回避しながらサバンナを小走りに学校へ通います。
野生動物の中で、とりわけ象が子どもたちの恐るべき存在。
ジャクソンは小高い丘から象の群れを観察し進路を決めます。
命がけの通学路が高い知性を判断力を養います。
ジャクソンの夢はパイロットになること。
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アルゼンチンのカルロスは11歳。
羊飼いの仕事を終えてから妹と愛馬に乗って片道18キロ、1時間30分
見渡す限り人のいないパタゴニアの険阻な山や平原を毎日学校に通います。
馬のキベリトとは大の仲良し。石ころだらけの
危うく滑りそうな道だって冷静沈着にバランスを取りながら進むのです。
カルロスもまた、ジャクソン同様頼りになるやさしいお兄ちゃん。
カルロスの夢は放牧民になること。
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モロッコのザヒラは12歳。
女性の教育には前向きではないイスラムの辺境の村。
標高3千メートルの高地の通学路を夜明けに起きて、2人の友と
毎週月曜日、片道22キロ、4時間かけて全寮制の学校に通います。
そして金曜夕方、同じ道を歩いて家へ。
道中、バッグから顔を出した鶏はどうなるのかと思っていたら
途中の市場で物々交換、お菓子に換えるのでした。
ザヒラの夢は教師になること。
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インドのサミュエルは13歳。
生まれつき足が不自由で歩けないサミュエルを2人の弟が
オンボロ車椅子に乗せて前から後ろからサポート。
片道4キロ、1時間15分の道程を通うのです。
通学路はトラブルの連続ですが、どんな困難も3人の強い絆と
底抜けの明るさで乗り越えていくのでした。
学校に着いたら同級生たちが集まって来て弟たちに代りサポート。
感謝の心を忘れないサミュエルの夢は医師になって自分のような
子供を救うこと。
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粗末な靴で大地を踏みしめ、走って走って、歩いて歩いて・・・
子どもたちの通学路は旅そのものでした。
大自然というリアリティーが子どもを逞しく育てます。
困難や試練が知恵を磨いていきます。
貧しいながらも学ぶことができる幸せを精一杯噛み締めて
学校へ通う子どもたち。
無事を祈り子どもたちを見送る親たちの姿にもまた
胸が熱くなりました。
子どもたちは何故ここまでして学校に通うのか?
それは「夢を叶えたいから」
勉強して家族や困っている人を助けたいと語るのです。
パイロット、放牧民、教師、医師・・・
その夢を語る子どもたちの澄んだ瞳の美しいこと。
子どもたちの聡明な知性と豊かな心が
いつかきっと多くの人を幸せにする日が来るでしょう。
子どもは希望。
彼らの夢が叶う平和な世の中が続くことを
祈らずにはいられませんでした。

岡山シネマ・クレールで。

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監督 : パスカル・ブリッソン
原題 : Sur le chemin de l'ecole
製作年/国 : 2012年 フランス
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by ishikoro-b | 2014-08-06 00:31 | 映画 | Comments(0)

映画 チョコレートドーナツ

この映画に出会えてよかった!・・・
現在岡山シネマクレールで公開中の映画「チョコレートドーナツ」は
そんなふうに思わせてくれる珠玉の一本でした。

ネタバレ注意。
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世界の片隅、寂しさという引力で巡りあった心優しき3人。
彼らの願いは愛する人とただ一緒に暮らしたいということ。
その簡単なことがこんなにももどかしく難しい・・・
1970年代、アメリカで起きた実話から生まれた愛の物語です。 

舞台は1979年のカリフォルニア・・・
人形を抱えたひとりの少年が夜の街灯りに照らされて
とぼとぼと歩いています。
彼の名はマルコ。薬物依存の母親に見捨てられた
チョコレートドーナツが大好きなダウン症の少年でした。

シンガーを夢見ながら日銭を稼ぐゲイのショーダンサー、ルディー。
ゲイであることを隠して世の中を変えるために弁護士になったポール。
ルディーのショーの最中にポールが店にやってきて
視線が合ったふたりは一目で恋に落ちるのです。
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ルディーのアパートの隣の部屋にはマルコとその母親が暮らしていました。
ある夜、ルディーはマルコの母親が男と出ていくところに出くわします。
部屋の隅には育児放棄されたマルコが小さくうずくまっていました。
マルコの母親は帰って来ることなく薬物所持で逮捕されてしまいます。
ルディーはマルコを保護するのでした。
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「母親のこともダウン症に生まれたこともマルコのせいじゃない」
ルディーとポールはマルコを引き取って育てようと決意するのでした。
血のつながりはなくても家族になれる・・・3人の暮らしが始まりました。
「ぼくのおうち?」「そう、わたしたちのおうちよ」・・
本当の両親のようにふるまうルディーとポール。
初めて温かな愛に触れたマルコの幸せそうな笑顔が美しいです。
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「ハッピーエンドのお話を聞かせて」
寝る前にルディーにお話をせがむマルコ。
マルコの人生がハッピーエンドに終わらないから
マルコの言う「ハッピーエンド」に胸が締め付けられます。

3人の幸せな生活は長くは続きませんでした。
ルディーとポールがゲイのカップルであることが周囲に
知られてしまうのです。
ふたりは正式に養子縁組をしてマルコと家族になろうとするのでしたが
時は1970年代、ゲイに対する世間の目は厳しく
差別や偏見がふたりの前に立ちはだかるのでした。
裁判のシーンは見ている方も怒りが込み上げてきます。
そして法にさえ見放されて、マルコはまたひとりぼっちに
なってしまうのでした。
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きっと迎えにいく・・・
ルディーの約束を信じて荷物をまとめて待っているマルコ。
実話だから余計に辛く涙が溢れます。

ささやかな幸せさえ叶わなかった厳しすぎる現実。
ラストでルディーが魂を込めて歌うボブ・ディランの名曲
「I Shall Be Released」
歌詞のなかの一節「Any Day Now」が映画の原題。
いつの日か、ぼくは自由になる・・・
ルディーの怒りや悲しみ、願いが強く心を揺さぶるのでした。

愛のかたちも家族のかたちもいろいろあっていいはず。
一見自由に見える世の中がいかに狭く無残な社会であることか。
「同性愛者」や「ダウン症」の枠を超えて
だれもがもつ「個性」や「好み」・・・
その偏見に立ち向かって生きている人の悲しみと勇気は
人間の普遍的なメッセージを感じさせてくれるのでした。

ダウン症の新人アイザック・レイヴァ君の夢は俳優になること。
その夢がこの映画で叶いました。
ポール役のギャレット・ディラハントも地味だけれども
内に秘めた怒りを見事に好演。
そして何と言ってもルディー役のアラン・カミングのチャーミングなこと。
歌も慈愛に満ちた表情も人間味にあふれていて
そのやさしさにずっと包まれていたくて
わたしは3回も映画館に足を運びました。

6月7日から公開された「チョコレートドーナツ」も
7月25日金曜日で終わり。
3人に会えなくなるのがちょっぴり寂しい気分です。

甘くてほろ苦いチョコレートドーナツの輪の中に
ハッピーエンドの思い出がいっぱい詰まりますように。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
監督・脚本・製作: トラヴィス・ファイン
原題 : 「Any Day Now」
製作年/国 : 2012年 アメリカ       
出演: ルディ:アラン・カミング
    ポール:ギャレット・ディラハント
    マルコ:アイザック・レイヴァ
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by ishikoro-b | 2014-07-18 23:43 | 映画 | Comments(2)

映画 25年目の弦楽四重奏

2012年のアメリカ映画「25年目の弦楽四重奏」をDVDで観ました。
カルテットのメンバーにふたりのオスカー俳優ですから期待度大。
そのひとり名優フィリップ・シーモア・ホフマンの訃報は
まだ記憶に新しいところ、返す返すも残念でなりません。
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舞台は冬のニューヨーク。
完璧なテクニックと美しいハーモニーで世界を魅了する
弦楽四重奏団「フーガ」は結成25周年目を迎えようとしていました。
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ピーター役は個性派俳優のクリストファー・ウォーケン。
年長者で「完璧な四角」を支えるカルテットの中心的存在のチェリスト。
ダニエル役はマーク・イヴァニール。
冷酷なまでに完璧な演奏で客を魅了する第一バイオリン担当。
ロバート役はフィリップ・シーモア・ホフマン。
カルテットに色彩と質感とリズムを与えみんなを繋ぐ第二バイオリン担当
ジュリエット役は、キャサリン・キーナー。
カルテットの紅一点。ビオラでカルテットの音に深みを添えています。

ロバートとジュリエットは私生活では夫婦。
ふたりにはバイオリニストを目指す娘アレクサンドラがいて
ダニエルがアレクサンドラの個人レッスンをしているという
設定でドラマは展開していきます。
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結成25周年目の記念コンサートのプログラムに取り上げたのは
ベートーベンの晩年の名作「弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調作品131」
この曲を聴いたシューベルトは
「この後で我々に何が書けるというのだ?」と言ったのだとか。
死の5日前には彼の最後の願いで「作品131」を演奏させたのだそうです。
ロバートがバイオリニストを目指す娘アレクサンドラに言います。
「我々四重奏団が死の床のシューベルトを囲んでいる。
彼が聴く地上で最後の曲を演奏する・・・」
「作品131」を演奏する前はそう想像して演奏に挑むのだと。

7楽章から成り立つ「作品131」は全楽章途切れることなく演奏されます。
したがってこの曲は途中音程が狂ってもチューニングができない。
各楽器それぞれに狂ったままの音程を最後までどのように演奏するか・・・
それは人生そのもののテーマにも重なります。
狂っていく音程を超越してこそ到達出来る美しい調和の響き・・・
ベートーベンの晩年の境地と「フーガ」のメンバーの人間模様を
巧く絡ませた監督ヤーロン・ジルバーマンの演出が冴えます。

劇中のこんな会話も興味深いです。
アレクサンドラがダニエルに「なぜソロにならなかったの?」と聞きます。
「仲間が大切だから」とダニエルは答えます。
「ソリストの場合、オーケストラと数回リハーサルをして本番・・・
それで終わりだ。次の街、次の指揮者、次のオーケストラ・・・
我々四重奏団は昨年3000回目のコンサートを祝った。
意味のある演奏にはこの方法しかない。
偉大な作曲家の魂を探るには四重奏団が一番なんだ」

なるほど・・・納得です!
こんな会話のひとつひとつが映画に厚みを加えていきます。
クラシックに詳しくない者にとってもこんなエピソードとともに
映画を鑑賞できるのはとても新鮮で、幸せなことです。
他にもパブロ・カザルスの言葉や
ピーターの亡き妻のメゾソプラノ歌手のこと
最後の仕掛けも・・・見所満載です。

25年間も家族のような調和で結ばれたカルテットでしたが
記念コンサートの練習中、思わぬ事態が彼らを襲います。
それはチェリスト、ピーターの突然の引退宣言でした。
パーキンソン病の初期であることを打ち明けるのです。
ピーターは一年前に愛妻を亡くしたばかり。
年老いた身に降り掛かる苦悩が切ないです。
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ピーターのいない弦楽四重奏団「フーガ」・・・
新たなメンバーを迎えて存続させるか、解散するか・・・
動揺を隠せないメンバーたちに様々な不協和音が響き始めます。
ロバートの第一バイオリンへのこだわり。
ロバートの不倫と妻ジュリエットとの不仲。
音楽一途だったダニエルとアレクサンドラの秘めた恋。
それを知ったジュリエットとアレクサンドラの確執。
それまで抑えていた様々な愛憎が一気に露呈していくのです。
そんな中、ピーターは絶望の淵に立ちながら
芸術こそが人生の苦悩から魂を救ってくれるものと信じ
静かに事態を見守るのでした。
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狂ってしまった人生の四重奏・・・
25周年記念コンサートはできるのでしょうか?
ロバートとジュリエットの関係は?
そんな疑問が映画の冒頭のシーンに見事に繋がっていくのです。
ピーターが学生たちの前で読むT・S・エリオットの
ベートーベン弦楽四重奏曲を謳った詩の一節・・・
「すなわち 終わりが始まりに先行し 始めの前と終わりの後に
常に終わりと始めがあるとすれば 全ては常に「今」なのだ」

最後のシーンはフーガ結成25周年コンサート。
ベートーベンの「弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調作品131」が
演奏され、弦楽器の美しい響きが会場を満たしていきます。
途中で演奏を辞めるピーター・・・
カルテットは新メンバーを迎えて新生「フーガ」として
スタートするのでした。
4人の心は再び音楽でひとつになって幕を閉じるのでした。

それにしてもみんな楽器の扱い方が実に自然・・・芸達者です。
弦楽器の色調で統一された映像も美しい。
渋くて深い大人の映画に仕上がっていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
監督・脚本・製作: ヤーロン・ジルバーマン
原題 : 「EA LATE QUARTET」
製作年/国 : 2012年 アメリカ       
出演: フィリップ・シーモア・ホフマン
    クリストファー・ウォーケン
    キャサリン・キーナー
    マーク・イヴァニール
    イモージェン・プーツ
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by ishikoro-b | 2014-05-15 00:06 | 映画 | Comments(0)