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石ころコロコロ

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カテゴリ:映画( 34 )

映画 君のためなら千回でも

2007年のアメリカ映画 マーク・フォースター監督作品
「君のためなら千回でも」をDVDで鑑賞しました。
原題は「The Kite Runner」
アフガニスタン出身のカーレド・ホッセイニの
ベストセラー小説の映画化です。
演技経験のないアフガニスタンの子供たちが出演しています。
君のためなら千回でも・・・
シンプルな言葉が心に響く素晴らしい映画でした。
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舞台は1970年代
ソ連侵攻前の平和なアフガニスタン、カブール。
裕福な家庭の息子、12才のアミールは
お話を作るのが得意な男の子。
母は出産と同時に亡くなり、厳格な父に育てられています。
母を自分のせいで死なせてしまったと思っているアミールは
父に疎まれていると不安を抱いていて
父の前ではいつも頼りない男の子でした。
そんなアミールを支えてくれたのが
召使いアリの息子ハッサンでした。
ハッサンは一つ年下で、働き者で知恵と勇気にあふれた男の子。
ハッサンにも母親はいませんでした。
身分の違いにもかかわらず小さい時からふたりは
兄弟のように仲良し。
一緒に映画を観に行ったり、字の読めないハッサンに
アミールが本を読んであげるシーンなど
ふたりの友情は生涯続くかのように見えました。

カブールの子供たちの冬のイベントは凧揚げ合戦。
活気あるカブールの街の上空を、自由に舞う凧のシーンは
美しくて切なくて胸が熱くなります。
空には国境もなくて、大きくて広くて青い。

凧揚げ合戦で見事に優勝したアミールたち。
アミールが切った凧をハッサンが拾いに行きます。
「必ず取って来て!」
「君のためなら千回でも!」と・・・

が、なかなか帰ってこないハッサンを
探しに行ったアミールが見たものは・・・
あまりに衝撃的なシーンでした。

この事件がふたりの人生を大きく変えてしまうのです。
優しいけれど臆病で卑怯なアミール。
見て見ぬふりをしたアミールは、自己嫌悪から
許しがたい嘘をついてハッサンを遠ざけようとするのでした。
ハッサンはアミールの仕打ちに抵抗も否定もぜず
父親のアリとアミールの家を出て行くのでした。

時を同じくしてソ連軍がアフガニスタン侵攻を決行。
再びハッサンと心を通わすこともなく
罪の意識を抱えたままアミールは、父とアメリカへ
亡命するのでした。 

2000年、サンフランシスコ。
卒業、結婚、父の死、いろいろあったけれど
小説家を目指し、ささやかな幸せの日々を送るアミール。
子供の頃からの夢だった自分の本が出版された日
運命を変える一本の電話が鳴りました。
それは父の親友でもあり、アミールに物語を書くことを
勧めてくれた恩人、ラヒム・ハーンからでした。
今は病気療養のためパキスタンに住んでいるラヒム・ハーン。
死期を悟った彼はアミールに重大な真実を伝えるため
「情勢は最悪だが、故郷に戻らなければならない」言うのです。
「もう一度やり直す道がある」と電話を切りました。

アミールは、ラヒム・ハーンの言葉に従いパキスタンへ。
久々の再会でラヒム・ハーンから聞かされた衝撃の真実・・・
それはハッサンの死と、ハッサン家族のその後でした。
ハッサン夫妻はタリバンによって銃殺され
ひとり息子は孤児院へ送られたというのです。
息子の名前は「ソーラブ」
それは昔、アミールが読んでくれたハッサンお気に入りの
物語の名前でした。
そして、アミールはラヒム・ハーンから
アミール宛のハッサンの手紙を受け取るのでした。

それから、もうひとつ重大な真実。
アミールとハッサンは兄弟だったと告げられるのです。
人格者で立派なアミールの父が召使いのハッサンの母と・・・
いままで信じていた父の嘘に
アミールは狼狽えるしかありませんでした。
父のハッサンへの接し方や、ハッサン親子が家を出て行くのを
止められなかったのも、そんな秘密があったからなのだと納得。
その当時の男には名声や名誉がなにより大切だったのだと
ラヒム・ハーンはアミールを宥めるのです。

アミールはハッサンからの手紙を開きます。
ハッサンが独学で読み書きを覚えて書いた手紙。
ハッサンと息子の写真も添えられていました。
手紙にはアムールへの信頼の気持ちと
息子ソーラブが善良で自由な人間に育つこと
再びカブールが花で溢れ、音楽で満ちる日を
そして大空に凧が舞う日を夢見ると、綴られていました。

アミールはカブールへ行くことを決意します。
ハッサンの息子を助け出すために
自らの罪を償うために
もう一度やり直す道を突き進むのでした。

タリバン政権下の故郷カブールに待っていたのは
変わり果てた街並みと、残酷なほど過酷な現実でした。
ソーラブを探して、たどり着いた廃墟のような粗末な孤児院。
院長の男から聞かされたのは
タリバンの将校が小銭をもって子供を買いにくる話。
「認めているのか?」
「ひとり連れて行かれれば、他の子供たちが助かる」
院長を責めることは誰にもできません。
ソーラブも売られていったひとりでした。

タリバンのアジトについにやって来たアミール。
ソーラブの救出劇の緊迫感や悲惨さには胸が詰まります。
タリバンの幹部の男は、昔、ハッサンを傷つけた少年でした。
何とか無事にタリバンのアジトからソーラブを救出。
「両親が死んでよかった、こんな汚れた僕を見せたくない」
ソーラブの言葉が胸に突き刺さります。辛すぎます。

ソーラブは無事アメリカへ行くことが出来たけど
残された200人の孤児たちはどうなるのでしょう?
アミールはソーラブを救うのがやっとでした。

ラストシーンの演出も素晴らしいです。
アメリカでの生活に心を開かないソーラブを
アミールは凧揚げに誘うのでした。
アメリカの空を舞う凧、許され自由になった魂。
昔、ハッサンが落ちる凧を追ってくれたように
今度はアミールがソーラブのために走るのです。
「君のためなら千回でも」と振り返りながら・・・
ソーラブの微笑んだ顔がいつまでも心に残りました。
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今も、この時、この瞬間にも、
悲惨な状況の中で生きている子供たちがいることに
無関心ではいられません。
シリアで、銃弾の犠牲となった
日本人女性ジャーナリスト、山本美香さんのニュースは
とても悲しく残念でした。
山本さんの死が無駄にならないよう、一日も早く
子供たちが悲しみの涙ではなく
生きる歓びに満ちた笑顔のこぼれる日が来ることを
願わずにはいられません。

☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2012-08-30 00:48 | 映画 | Comments(2)

映画 刑事ジョン・ブック/目撃者

ロンドン五輪開会式、素晴らしかったですね。
イヤ〜、女王陛下と007、興奮しました。
なんて素敵なアイデアなのでしょう。
ダニエル・クレイグ、カッコ良かった!
流石、イギリスですね。

暑い日は冷房の効いた部屋でオリンピック観戦もいいですが
「レモネード」片手に、こんな映画はいかがでしょう。

1985年のアメリカ映画、ピーター・ウィアー監督作品
「刑事ジョン・ブック/目撃者」をDVDで観ました。
映画館で観て、もう27年も経つんだ・・・とシミジミ。
VHSの時代から数えると10回以上、私の最多鑑賞映画です。
久しぶりに鑑賞して、やっぱり大好き。
色褪せない美しい映画でした。
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刑事ジョン・ブック役のハリソン・フォードが素敵なんです。
ハリソン・フォードの最高傑作と言っても過言ではありません。

舞台は1984年のアメリカ
ペンシルバニア州のアーミッシュの村。
私はこの映画で初めてアーミッシュのことを知りました。
村人は大きな家族のように強い絆で結ばれ
車はもちろん、電話も電気もない・・・
物質文明社会を拒否し、美しい自然の中で
シンプルに豊かに生きるアーミッシュの人達。
さまざまな環境問題で悩む私たちに興味深いものがありました。
ま、(小さな声で)村の人間関係はパスですけど・・・。

アーミッシュの若き未亡人レイチェル(ケリー・マクギリス)と
幼い息子サミュエル(ルーカス・ハース)は旅行中、
麻薬潜入捜査官殺しの事件に巻き込まれるのでした。
男の子が駅のトイレで殺人シーンの目撃してしまうのです。
この事件を担当し、彼らを守るのがフィラデルフィア警察
殺人課の敏腕刑事ジョン・ブック。
男の子の目撃証言から警察内部の不正に気づいたジョンは
逆に警察の幹部たちに狙われ銃創を負います。
母子を守るため、傷つきながらも車に二人を乗せて街を脱出。
アーミッシュの村まで二人を送り届けるのでした。
が、しかしここで力尽き、気を失ってしまうのです。

村人が煎じてくれた薬とレイチェルの手厚い看護で
奇跡的に快復したジョン・ブック。
目覚めたところは、現代社会からタイムスリップしたような
文化も時代も違うアーミッシュの村でした。
暴力と文明社会の中で生きてきたジョンは
傷が癒えるまで「汚れた文明人」として
この村に身を潜め、暮らすことになるのでした。
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ここから映画は、単なる刑事ものにあらず。
美しく彩られた愛の物語に変っていくのです。
白いボンネット姿が無垢で美しい母親レイチェル。
息子サミュエルも透き通るほどの可愛らしさです。
住む世界の違うジョンとレイチェル。
やがて惹かれ合い、実らぬ恋に落ちていくのでした。

窓から差し込む光の技法など、まるでフェルメールの絵を
思わせる名シーンが随所に鏤められていて
本当に息を呑むほどの美しさ、映画に気品を添えています。

納屋で、カーラジオから流れる音楽に誘われてのダンスは最高。
ぎこちなく、超えてはいけない気持ちを押さえながら踊る二人。
映画史に残る名シーンです。

「君を抱いたら、ここから離れられなくなる・・・」
結ばれない関係がより切なく、観る者の感情を揺さぶるのでした。

村の人総出で納屋を建てるシーンも印象に残ります。
働く男たちが美しい。
女たちも集まって、昼食の支度をしたりキルトしたり・・・
絵のような世界です。
ここでアーミッシュの若者の中に、当事無名だった
ヴィゴ・モーテンセンを発見!
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しかし、そんな穏やかな日は長く続かず
警察の同僚の死を知ることになるのでした。

ジョンが明日また元の世界へ帰ると知ったレイチェルは
ジョンのもとに駆け寄るのでした。
押さえきれない感情が溢れだして抱き合うふたり。
切ない切ないキスシーンに胸が熱くなります。

そして翌朝、ついにジョンの所在を探り当てた警察幹部たちが
ショットガンを手にアーミッシュの村へ現れるのでした。
ここからサスペンス炸裂。
そして最後はアーミッシュの非暴力主義が
事件を解決に導くのでした。

ジョンとレイチェルの別れのシーンも美しいです。
見つめ合い、別れるしかないことを悟るふたり。
言葉はなくても映像から心情が伝わって来るのです。

エンドクレジットの外界に続く一本の道を
ジョンの車が遠ざかっていくロングショットも見事。
いつまでも心に残りました。

☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2012-07-29 22:49 | 映画 | Comments(2)

アクターズ・スタジオ・インタビュー ミッキー・ローク自らを語る

BSプレミアムで楽しみにしている番組のひとつに
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」があります。
アクターズ・スタジオは数々の名優たちが演技を磨いた
アメリカを代表する演劇の専門学校。
アクターズ・スタジオの副学長、演出家でもある
ジェームズ・リプトンが、演技や演出を学ぶ学生たちの前で
第一線で活躍する映画人をゲストに招き
インタビューする番組です。
ゲストのキャリアに敬意を払いながら、ユーモアも交え
ゲストに本音を語らせるジェームス・リプトン。
知性をと品格を湛えたブルーの瞳が素敵です。
ゲストの素顔や作品の裏話が聞けたり
苦手だった俳優が好きになったり
毎回、興味深く観ることできます。

7月8日の放送分の録画を遅ればせながら観ました。
「ミッキー・ローク自らを語る」です。
ミッキー・ロークもアクタース・スタジオの出身者でした。

「ナインハーフ」のエロチシズムにドキドキした昔が懐かしい。
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番組はミッキー・ロークが歩んできた道を辿ります。

帽子にサングラス、マグカップ持参・・・
お行儀悪そうな出で立ちで登場しました。
若い頃の甘いマスクとはあまりに違う風貌に愕然。
そんなミッキー・ロークをジェームズ・リプトンは
温かく迎えます。「ミッキー、お帰り」と。

まずはいつもの質問から。
出身は、本名は、そしてお母さんの名前は?
少し間をおいて「M」とだけ。
「いろいろあってね。」
6才の時、両親の離婚。10年間に及ぶ義父からの虐待。
弟が不憫だった。義父の暴力から弟を守ってやれなかった。
そして母親は知らん顔をしていたと。
家の近くのボクシングジムだけがイヤなことを忘れられる
場所だった。けれど脳震盪を起こしてやめた。

タバコもプカプカ。マグカップの中身は水?お酒?
落ち着きのないヤンチャな男に
ジェームズ・リプトンの眼差しが何とも優しいのです。

子供の頃から働き詰めだった。
ギャングになろうと思っていた。
麻薬が買える場所に金持ちを案内して駄賃を稼ごうとしたが
ある晩、取引の場で銃弾が飛び始めた。
けれど、かっこ良く撃つことができず、奮えて逃げ出し
ギャングは向いていないと思い俳優の道を目指した。

そしてニューヨークへ。
アルバイトでお金を貯めて演劇学校へ入ろうと思っていたところ
アクターズ・スタジオの一員だった人と出会う。
「熱いトタン屋根の猫」でオーディションを受けようとしたら
そこに登場する父親像が理解できなかった。
その人から20年以上会っていない実父に
会ってくるように言われる。

電話で居場所を確かめてハンバーガー屋に行ったら
ある男の手と背中に見覚えがあった。
外に出て、同じ背丈が嫌で、道路の溝に下りて父親に声をかた。
父は「いつか来ると思っていた」と。
7時間も話したが、実父と会ったのはそれが最後だった。

オーディションでは数千人が受けて5人が最終候補に。
ミッキーは見事に合格。
アクターズ・スタジオの創設者エリア・カザンが
最高のオーディションだったと絶賛したのだとか。

そして彼は「ランブルフィッシュ」や「ナインハーフ」など
次々とハリウッドの話題作に出演、俳優として絶頂期を迎えます。
しかし、監督や映画会社との確執などから
次第にメディアに背を向けるようになるのでした。

自分を見失っていた・・・
映画会社や監督、ダメな映画のせいにしていた。
どうしていいかわからず、ひどくなるばかりだった。

34才でまたボクサーに。皆は引退する年です。
タイトルも取れず、体中あちこち骨折。鼻に至っては骨折5回も。
耳の軟骨で砕けた鼻を治したとか。
神経障害から一時的に記憶喪失にも。
医師からは再起不能になると宣告さました。
そして家も妻も仕事も名誉もすべて失い
14年もの失意の日々を過ごすのでした。

悪魔は薬物や酒ではなかった。
カトリックでなければ自殺していたかも・・・
心理療法や神父との出会いが、少しずつ彼に変化を
もたらしました。
ワインとタバコを手にしても懺悔を聞いてくれた神父さんは
最高です。

長い暗闇から脱しつつあった2004年に転機は訪れます。
「なにが起きた?」の質問に、彼はうつむいて言葉を失います。
弟の枕元にいたら、看護士から話があるといわれ何かを感じた。
「彼は数日前に死んでいても不思議ではない。
別れを言ってあげなさい」・・・彼は別れを告げた。
そしてその30秒後に弟は亡くなった。
「今でも弟を大事に思ってる?」泣きながらうなずくミッキー。
彼の指に彫られたタトゥーが弟の名前だとわかった時
ジェームズ・リプトンは言います。
「なんて人だ、胸を打たれる」と。
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映画「レスラー」のエピソードも興味深かったです。
監督が会いたがっているというので会いに行ったら
挨拶もしないうちに「君の名前じゃ資金は集まらない。
撮影では私に従うんだ。一切逆らうな。」と言われたとか。
「俺はまだ何も・・・」ミッキーの表情がよかったです。
脚本はミッキー自らも携わって形になったとか。
「レスラー」はミッキーの人生そのもののような映画。
ゴールデングローブ賞をはじめ、数々の賞に輝きました。
でも彼は自分の映画を観ていないのだそうです。
「お勧めだよ」とジェームズ・リプトン。
いいなあ。

「バカで無責任な生き方をしてきた。15年前に
変われればよかったよ」
「でも、たいていの人は君に及びもつかないんだよ」
「さあ・・・」
「そうだよ」

ミッキー・ロークの人生に賛辞を惜しまない
ジェームズ・リプトンの姿勢にも熱いものが込み上げてきます。
こんなインタビュアーが日本にいるでしょうか。

この番組には、恒例のピボーの10の質問というのがあります。
4番目の質問「げんなりするのは?」
「動物虐待」会場から拍手が起こります。
彼は強いものには刃向かったけれど
弱いものいじめは決してしなかった。
そして最後の質問
「天国の入り口に着いた時に、神に何と言われたい?」
「弟さんは、そちら。女性は、あちら」・・・巧い! 

親友だったショーン・ペンとは喧嘩をして12年も
口をきかなかったとか。
文無しなのを白状すると「映画に出ないか」と
誘ってくれたのだそうです。
彼はひとりぼっちではなかった。彼を愛する人がいて
ちゃんと手を差し伸べていてくれたのです。

「自分なりに生きていくとする。
 無責任で強情、我が道を行く。
 でもそれは強さではなく弱さになってくる。
 突然、自分を変えなければと思い始める。
 なにかがおかしい。これじゃダメだと。
 変らなくてはと思う。
 それでいいんだ。変るのは弱さじゃない」

ミッキー・ロークの言葉で番組は終わります。
純粋ゆえに不器用にしか生きられなかった彼の人生。
どん底の生活の中にも生きる意味がありました。
暗闇の中で変ろうともがいたミッキー・ロークが
たまらなく愛おしく感じられたインタビュー番組でした。

猫のミッキーです。ミッキー・ロークのイメージに似ている?
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☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2012-07-21 00:46 | 映画 | Comments(2)

映画 フランスの思い出

梅雨の夜、こんな映画はいかがでしょう。
1987年のフランス映画、ジャン・ルー・ユベール監督作品
「フランスの思い出」をDVDで鑑賞しました。
私の大好き映画ベスト3に入る作品なのです。
フランス映画らしい創りというか、ハリウッド映画とは
やっぱり違うなととつくづく感じさせてくれる映画なのでした。
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原題は「LE GRAND CHEMIN(ル・グラン・シュマン)」
「大通り」という意味だそうです。
1950年代のフランス、田園が広がる静かな村の大通りが
映画の舞台です。

道端に咲く花が風に揺れて、水色の大きなバスがやってきます。
お腹の大きいお母さんと「行くのはイヤだ」と
泣いて駄々をこねる甘えん坊の男の子が
グランシュマンのバス停に降り立ちました。

お母さんの出産のため、母の幼友達のマルセルの家に
預けられることになった9才の男の子ルイ。
お母さんはルイを残して、すぐ帰ってしまいました。
実はお母さんは別居中の夫と離婚の危機という大きな悩みを
抱えていたのです。ルイには内緒なのですが・・・

ルイの不安な夏休みが始まりました。
マルセルおばさんの家に着いてまず目にするのが
ウサギの皮を剥ぐシーン。
これはかなりの衝撃で直視には勇気がいります。
夜のごちそうとなるのですが、ルイには食べることができません。
マルセルおばさんは優しいけれど
マルセルの夫で木工職人のペロおじさんは
「ガキとウサギは甘やかさない」と凄みます。

隣家に住む一つ年上のマルティーヌは
扁平足を治すためいつも裸足。
座ったらいつもパンツ丸見えのお転婆でおませな女の子。
パリからやってきたルイを秘密監視塔に案内します。
そこは葉っぱが鬱蒼と茂った木の中にできた空間。
秘密監視塔から村の様子やお墓も見渡せました。
「埋葬を見るのが大好きなの、みんな大声で泣きわめくわ」
子供の遊びの中にも死のテーマがあって
あどけない子供の会話の中にも
人生の悲しみが込められていたりするのです。
秘密監視塔の葉っぱの間から顔を出すふたりが本当に可愛らしい。
何度観ても絵になるシーンです。

戸惑うルイの心を引き立ててくれたマルティーヌ。
大人たちの会話を盗み聞きした耳年増的知識をルイに教えたり
教会の屋根に上がってルイにオシッコさせたり
神父さんにスカート捲ってパンツを見せたり・・・
子供の感性をそのまま表現しているところも好感がもてます。

マルティーヌはルイを納屋へ誘います。
マルティーヌの姉と恋人のHシーンを覗きに行くのです。
納屋に向かって走るマルティーヌの鼻歌が
モーツァルトのアリアですから恐るべしフランスの子供!
この悪い子が、たまらなく可愛いのです。
映画公開当時、確かこの覗きのシーンが
ペーター佐藤さんのイラストで、ミスタードーナツの
パッケージに使われていたのも懐かしい。
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少しずつ田舎の暮らしに慣れてきたルイの気がかりは
マルセルおばさんとベロおじさんの不仲でした。
実は、ふたりには無事生まれていればルイくらいの
子供を失った悲しみからずっと抜け出せないでいたのです。
酔いつぶれて帰って来ては暴れるペロ。
マルセルとベロの諍いをベッドの中で聞いて耳を塞ぐルイ。
大人の世界も大変なことを知ります。

でもペロおじさんは本当は見た目よりもずっと優しい人でした。
ルイとの男同士の会話や素敵なシーンがたくさんあります。
ルイがそっと手を伸ばし、ペロと手をつなぐ何気ない
シーンにさえ、込みあげてくるものがありました。
ペロは木工職人なので村に不幸があると棺桶も作ります。
棺桶の中に入ってペロの仕事を手伝うルイ。
なんだか棺桶が揺りかごのように見えるから不思議です。
悲しく、可笑しく、人間の生と死が描かれているのです。

そして一騒動もあったりして
生涯忘れることのない甘く切ないルイの夏休みは終わります。
お母さんは男の子を産んでルイを迎えにきました。
それぞれの淡々としたな別れのシーンも素敵です。
帰りのバス停には、ちょっぴり大人になったルイがいました。

ルイと過ごした日々はペロとマルセルの関係にも
変化をもたらしました。
ラストシーンが泣かせます。
これは大人の物語だったのだと気付かされます。
秋の訪れを感じさせる雨の中、ルイを見送ったマルセルが
ペロの仕事場に現れて・・・

自分の幼い頃の記憶を呼び覚まされるような一夏のきらめき。
人生、苦しいことや悲しいことがいっぱいあるけれど
それでも生きるっていいなと素直に感じさせてくれる
素晴らしい映画でした。

ルイ役は監督の実の息子のアントワーヌ・ユベール。
マルティーヌ役はヴァネッサ・ゲジ。
ふたりの子供らしい笑顔とナチュラルで瑞々しい演技は
本当に素晴らしかった。
マルセル役はアネモーヌ。
悲しみをこらえて必死で明るく生きようとする姿が素敵でした。
ペロ役はリシャール・ボーランジェ。
大酒飲みのどうしようもない男だけど、次第に内に秘めた
優しさが滲みでて観るものの心を深く揺さぶりました。

アントワーヌやヴァネッサは
今頃どんな大人になっているのでしょうね。

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by ishikoro-b | 2012-06-22 19:14 | 映画 | Comments(0)

映画 ファミリー・ツリー

今、公開中の映画ファミリー・ツリーを観てきました。
ダメな夫、ダメな父親役のジョージ・クルーニー・・・
カッコ悪いところもまたカッコいいジョージ・クルーニーでした。
監督 アレクサンダー・ペイン
2011年のアメリカ映画です。
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あこがれの楽園・ハワイでの生活
酒飲んでサーフィンしてるんだろって
みんなに羨ましがられるけれど
ここ15年はサーフィンなんかしたこともない・・・
主人公のそんなぼやきから映画は始まります。
どこに暮らしても人生はそんなにラクではないのです。

ジョージ・クルーニー演じる主人公マット・キングは
弁護士の仕事に追われ子育てや家事一切は妻に任せきりでした。
その妻が突然、ボート事故で植物状態となるのです。
快復の見込みのない妻。
医師から生命維持装置を外すことを勧められて
マットは苦悩します。
そして今になって家族と向き合う事になったマットは
反抗的な2人の娘に振り回されるばかりでした。
もう一つ彼の頭を悩ませていたのは先祖が残した
広大な原野のこと。
マットはカメハメハ大王の末裔だったのです。
法律により土地を売却せざるをえない事態に直面し
財産処分の責任者だったマットは決断を迫られていました。

苦悩の日々を癒すかのように流れるハワイアンミュージックと
美しい自然が心に沁みます。

そんなマットに長女の一言が留めを刺します。
「パパは知らないの?ママは浮気してたんだよ」
自分だけが知らなかった衝撃の事実にマットは打ちひしがれます。
しかしこの事が父と娘の心を通わすきっかけとなるのです。
娘たちに不様な姿をさらしながらも
浮気相手の男がどんな男だったか知りたいと思い始めたマット。
長女が頼もしい協力者となりました。
2人の娘と長女のボーイフレンドと一緒に
浮気相手を探すちょっぴり奇妙な旅に出るのです。

なぜハワイが舞台?
なぜカメハメハ大王の末裔の設定?
妻の浮気と先祖が残した土地売却の問題が巧く絡み合って
最後、納得させられます。
すべてを許してひとつになった父と2人の娘が
テレビを見ながら大きなソファーで寛ぐラストシーンは秀逸。
3人の膝を覆うハワイアンキルトが
母の形見のものとわかった時、熱いものが込みあげました。

家族が絆を取り戻すきっかけが
妻(母)の尊厳死だったのは切ないけれど
家族の再生をじっくり丁寧に描いた素晴らしい映画でした。

でも、どこに住んでも辛い人生なら
ハワイで暮らすの、やっぱりいいな。

☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2012-05-28 01:42 | 映画 | Comments(3)

映画 アーティスト

「アーティスト」は素敵な映画の贈り物。
白黒&サイレント映画という忘れ去られようとしている手法で
生きている歓びをシンプルに美しく描いた作品でした。
音楽も俳優たちの細やかな表情もセリフ以上に雄弁。
こんな手が残ってたんだ・・・
映画の原点でもあり、映画の未来も見えてくるような
新鮮なアイデアに素直に感動。
本年度アカデミー賞<作品賞>ほか最多5部門受賞や
カンヌ映画祭パルム・ドール賞ならぬ
パルム・ドッグ賞受賞の犬のアギーの名演技は
アカデミー賞主演男優賞をあげてもいいくらい。
心から拍手を贈りたくなるような映画でした。
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舞台はサイレント映画からトーキー映画に
移行する古き良きハリウッドの黄金時代。
サイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティンは
共演した愛犬と共に新作の舞台挨拶で拍手喝采を浴びていました。
そんな中、未来のスターを目指す新人女優のペピーと出会います。
ペピーにとってジョージは憧れの存在。
そんなペピーにジョージは女優になるためのアドバイスをします。
女優として目立つことが必要だと
ジョージがペンシルで描くぺピーの唇の上の小さなホクロ一つ。
瞬間、ぺピーの顔がスターの輝きを放ちはじめます。

ジョージに恋してしまったペピー。
誰もいないジョージの楽屋でペピーが
彼のタキシードの片袖に腕を通して
抱きしめられる仕草をするところなど
映画史に残る名シーンと言っても良いくらいでした。

やがて映画はトーキーの時代へ。
ペピーはトーキー映画の人気女優になっていきます。
一方、サイレント映画にこだわり続けた
アーティスト、ジョージ・ヴァレンティンは
次第に時代から取り残されていくのでした。

新旧スターの立場が逆転することを彷彿させる
階段のシーンや、雨の日の路上に落ちたジョージの
ポスターのシーンなど演出も心憎いばかり。

落ちぶれていくジョージ。
そんなジョージに胸を痛めるぺピー。
なんとか復活させようと良かれと思ってした行為が
ジョージのプライドをまた傷つけたりするのでした。

しかし・・・
過去の栄光にしがみつくのをやめたとき
支えていてくれる誰かがいることに気付いたとき
人生はまた輝きはじめるのだということを
映画は教えてくれるのです。
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ジョージ・ヴァレンティンを演じたジャン・デュジャルダン。
全編を通して彼の豊かな演技力に魅了されました。
チャーミングなペピー・ミラーを演じたベレニス・ベジョ。
実はこの映画の監督の奥さんなんですって。
犬のアギーには一撃で脳天もハートもうち抜かれた感じ。
「アーティスト」はミッシェル・アザナヴィシウス監督作品。
2011年のフランス映画でした。

☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2012-04-25 00:02 | 映画 | Comments(2)

映画 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

ポスターの少年の印象的なブルーの瞳と
よく意味のわからないタイトルに惹かれて
2011年のアメリカ映画 スティーブン・ダルドリー監督作品
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」を
観てきました。

予備知識なしで行ったので、
あらら、お父さん役にトム・ハンクス。
お母さん役にサンドラ・ブロック。
これは期待してしまいますね。
一言でいえば、9.11のテロで最愛の父を失った少年の
喪失と再生の物語。
いや〜なかなかよく出来た素晴らしい映画でした。
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高い知能と繊細な感受性を持つオスカーは
高層ビルも地下鉄も街の騒音も苦手。
ブランコにだって怖くて乗れません。
他人とのコミュニケーションも下手なオスカー。
そんな彼を誰より愛し理解してくれたのは父でした。
オスカーの何よりの楽しみは大好きな父と
かつてニューヨークにあった第6区を探す
「探検調査ゲーム」をすること・・・
両親の温かい愛に包まれた穏やかな日々。
しかし・・・
9月11日の朝、ニューヨックを同時多発テロが襲います。
オスカーは突然、父を失うのでした。

遺体のない空っぽの棺で父の葬儀をしようとする母。
納得できないオスカー。
母に怒りをぶつけ、わだかまりを残します。

1年が過ぎても父の死を受け入れることが出来ないオスカー。
ある日、オスカーは父のクローゼットの中から
封筒に入った1本の鍵を見つけます。
その封筒には「BLACK」と書いてありました。
オスカーは父からのメッセージであると確信し
電話帳からニューヨーク中のBLACKさんを探し
鍵穴を見つける「探検調査」の旅に出るのです。

オスカーの部屋の窓から向かいのアパートに暮らす
祖母の部屋が見えました。
いつの間にかそこには間借り人の老人が住んでいて・・・
映画を見ているものにはその老人が別れた祖父だということが
すぐわかるのですが・・・
間借り人の老人はオスカーの「探検調査」の旅の
同行人となります。
老人には辛い戦争体験があり言葉が話せない設定。
表情と身ぶりだけで感情を表現する
マックス・フォン・シドーの演技はいぶし銀の輝き。
左右の手のひらに書いた「YES」と「NO」のやりとりも
素敵なアイデア、お茶目なところも魅力的。
心に傷を負う者同士の「探検調査」の旅は続き、
やがてオスカーはその老人が祖父だと気付くのです。

「探検調査」の途中に挿入される父と過ごした
楽しい日々の回想シーンが涙を誘います。
どんなに辛い時も優しかった父との思い出が幸福な光となって
オスカーを守り照らしているかのようでした。
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やっと見つけた鍵穴は父のメッセージだったのか。
安易な感動が用意されていないのも好印象。
現実は子供にも厳しいのです。

数々の出会いの中から少しずつ父の死を受け入れ、
悲しみを乗り越えていく少年オスカー。

ところで、父と息子の強い絆の前であまりに薄い母の存在感。
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」の
不思議なタイトルの意味が終盤、明かされるのです。
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映画の最後はオスカーが苦手だったブランコを漕ぐシーン。
高く高く足が空に届くほど
天国のお父さんに届くほど、高く高く・・・

アメリカ同時多発テロからはや11年。
東日本大震災からまもなく1年の月日が経とうとしてます。
深い悲しみから立ち上がるには勇気と時間がいるでしょう。
愛する人を失うこと、それは本当に苦しく悲しく寂しい。
けれど前に進むしかないのです。
一歩踏み出した少年の勇気を心から応援したくなりました。

この映画は第84回アカデミー賞作品賞にノミネート。
そして老人役のマックス・フォン・シドーも助演男優賞に
ノミネートされました。
本作が映画デビューというオスカー役の
トーマス・ホーン君の演技にもオスカーをあげたい。
26日の発表が楽しみです。

☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2012-02-22 00:49 | 映画 | Comments(2)

映画 ガッジョ・ディーロ

1997年のフランス・ルーマニア映画
トニー・ガトリフ監督作品「ガッジョ・ディーロ」を
DVDで鑑賞しました。
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凍てついた大地をひとりの若者が旅しています。
どれだけ歩いたのか靴はボロボロ。
「もう歩けない」
座り込みチーズで空腹を満たす若者。
そして立ち上がり道の真ん中で踊り始めます。
腕を組み片足を挙げてくるくる廻りながら。

我ら民族は ジタン ツィガーヌ ジプシー チゴイネル
消えるだろう この世から・・・

バックに流れる郷愁漂う悲しくも美しい歌が
観るものの心を掴みます。
歌に合わせて廻りの雪景色もくるくる。
私も旅人となってロマの村の
ガッジョ・ディーロとなるのです。

「ガッジョ・ディーロ」とは「愚かなよそ者」のこと。
「ロマ」とは「ジプシー」のことで、
最近では「ジプシー」は蔑称とされていて
「ロマ」と呼ぶのが適切なのだそうです。

パリからやってきた青年ステファンは
亡き父の遺したロマの歌のテープに魅せられ
幻の歌手「ノラ・ルカ」を探してロマの村に辿り着きます。
泊まる所もないステファンは
村の老人イジドールと出会います。
イジドールは息子が無実の罪をきせらて
やり場のない怒りと悲しみに酔いつぶれていました。
イジドールの家に滞在することになりますが言葉も通じない。
ステファンの目的もなかなか理解してもらえません。
それでも村人からよそ者盗人扱いされるステファンを
「天から降りてきた神の遣いだ」と
親切に受け入れてくれます。
イジドールはヴァイオリンの名手で
人懐こくて酒好きの女好き。
ステファンはイジドールに振り回されながらも
次第に惹かれていきます。

村に電気を灯したり
フライパンで作った蓄音機にレコードをかけて
手で回すと新聞紙を丸めたスピーカーから音楽が流れて
村人の目のキラキラ輝くシーンは
ステファンからの素敵な贈り物でした。

村の暮らしに少しなじんではきたけれど
なかなか見つからない歌手「ノラ・ルカ」

村のセクシーで気性の荒い女サビーナも、
最初はよそ者ステファンを嫌いますが、
やがてステファンの音楽収集の協力者となり
愛し合うようになります。
酒場でお皿を割って踊るふたりのダンスの情熱的なこと。
酔っ払ったステファンの耳元で
サビーナが囁くように歌ったのは「ノラ・ルカ」の歌。
「これだ!ノラ・ルカだ」
「ルーマニアで昔から歌われている歌よ」
サビーナはステファンに顔をくっつけて
泣くように歌います。

生きることのすべてを音楽にして
歌い踊るしかないロマの人々。
迫害や差別など彼らが味わっている苦しみが
人間ドラマとして描かれていきます。
哀愁溢れるロマの歌は本当に泣けます。

最後に迎えるイジドールの息子の悲劇。
「神様 なぜです 教えて下さい 
 なぜ黒い肌に生まれてついたの・・・」
村を焼かれるシーンのバックに流れるこの歌は
涙なしには観られません。
息子の死の知らせを受けてイジドールは
「ああ神様、辛すぎます!」と
地面を叩き、胸を掻きむしり叫ぶのです。

ロマの村で暮らし、ロマの女を愛したステファン。
人々との触れ合いを通して彼もまた成長していきます。
ロマの魂の奥深さに触れた彼にとって
「ノラ・ルカ」や録音収集した過去の音楽は
もう意味をなさないものとなったのでしょう。
穴を掘って録音テープを叩き壊し埋めてしまうのです。
そしてその土の上に儀式のようにお酒を振りかけ
またゆっくり踊り始めるステファン。
それは大人になったステファンの姿でした。

配役は主役のふたり以外はみんなロマの人を
起用したのだとか。
イジドール役の老人はロマの本物の楽士。
ヴァイオリンも素人とは思えない演技も
最高に素晴らしかったです。
彼の存在なくしてこの映画は成り立たなかったでしょう。
しみじみと余韻の残る素晴らしい映画でした。

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☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2012-02-01 02:59 | 映画 | Comments(2)

グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独

今年最初の映画は劇場で・・・
「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」を観ました。
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ちょっと引いてしまう副題は期待してはいけないのサイン?
ドキュメンタリーとしては過去BSで放送されたのを
観ていたせいかあまり目新しい発見はありませんでした。
彼を愛した女性たちの証言から愛と孤独?
このアプローチも興味深いけれど、
グールドの本質はもっと別の所にあるような
美学とか音楽観とか宇宙観とか・・・
もう少し掘り下げてほしかったような気がしました。

昨年秋に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏も
「クレージー」な人でしたが、
グレン・グールドもクラシック界の異端児、
「クレージー」な人でした。

恋人のひとり、チェリストのフレッド・チェリの言葉が
天才グールドをうまく表現していて印象的でした。
「グールドだけが作品と作曲家の内面に侵入し、その反対側に
突き出た。作曲家に対する共感を通り越し、作品を完全に
乗っ取っていた」と・・・

並み外れたテクニックと芸術性。
初アルバム「ゴルドベルク変奏曲」で天才ピアニストとしての名を
世界中に知らしめたグールド。
しかし32歳の人気絶頂の時に突然コンサート活動中止を宣言。
聴衆の前から姿を消します。
語り伝えられる特異なこだわり、奇行の数々・・・
父親特製の極端に低い椅子で鼻歌まじりに鍵盤を叩き
指揮までする演奏スタイル。
極度の寒がりと潔癖性で夏でも厚手のセーターに
手袋をはめていました。
そしてコンサートのドタキャンなど・・・
これらすべて彼が音楽に誠実であったからこそ。
「音楽が世俗から僕を守ってくれる」
選ばれた人にとって俗世間はさぞ息苦しかったことでしょう。
50歳で亡くなるまでをレコーディングスタジオにこもり
録音による独自の音楽芸術を極めていきました。

グールドが後世に残した最後の録音は
奇しくもデビュー・アルバムと同じ「ゴルトベルク変奏曲」
でした。
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ゴルトベルグで現れ、ゴルトベルグで逝く。
アリアに始まりアリアで終わる美しいアルバム構成も
無限に繰り返される大きなの意志のようなものを感じさせます。
惑星探査機ボイジャーにも人類の音楽のひとつとして
グールドのバッハ「平均律クラヴィーア曲集」が選ばれました。
神様への美しい音楽の捧げものです。

ドキュメンタリーとしては物足りなかったけれど、
ゴルトベルク変奏曲の調べに魅了された一時でした。
こんな映像が残されていて
何度でもクールドに会えることに感謝。
天才はカッコイイ!!!
ピアノの「田園交響曲」も、もっと聴きたかったです。

さっき外に出たら、素敵な満月。
うさぎの餅つきが、ピアノを弾いているグールドに
見えました。

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by ishikoro-b | 2012-01-09 16:14 | 映画 | Comments(2)

映画 二十日鼠と人間

近所にツタヤが出来たのが嬉しくて、さっそく立ち寄ってみたら
すっかり忘れかけていた映画を見つけました。
1992年のアメリカ映画「二十日鼠と人間」OF MICE AND MEN
スタインベックの同名小説の映画化です。
制作・監督はゲイリー・シニーズ。
ジョージ役も演じています。
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物語は・・・
1930年代の不況風に荒れるアメリカの農村地帯。
家も財産も愛する人もいない渡り労働者たちは、
希望もなくみんな孤独でした。
しかし、
レニーとジョージだけは違っていました。
大男で力持ち、でも知恵遅れのレニー。
小柄だけど、いつも冷静で知的なジョージ。
デニムのズボンとコンパクトに巻いた毛布を肩に掛けて、
凸凹コンビはいつも一緒に農場を転々と。
ふたりは固い友情の絆で結ばれていたのです。

とある農場でレニーが起こしたトラブルにより、
ふたりが追われるシーンから映画は始まります。
レニーさえいなければと思いながらもジョージは
いつも優しくレニーを庇ってきました。

新しい農場へ行く途中、川縁で野宿するシーンでの
ふたりの会話が心に沁みます。
たき火のあかりに照らされながら、レニーはあどけなく
ジョージに夢の話をしてほしいとせがみます。
「この前みたいに話をしてくれ」
「どんな?」
「ウサギの話だよ」
ジョージは「今は希望はないけど俺たちには未来がある。
それにお互い語り合う友を持っているんだ」
レニーは「おいらにはあんたがいるし、あんたにはおいらだ」と
キラキラ目を輝かせて答えます。
ジョージは、いつか小さな家と土地を持って牛や豚を
飼うのだと続けました。
そして広い野菜畑を作ってウサギ小屋を立てて
ウサギはおまえが世話をするんだと。
「おいら、いろんな色のウサギを飼いたいな」
レニーの表情は本当に嬉しそう。
ジョージはウサギが飼いたかったらトラブルは避けろ、
トラブルがあったらここの茂みに隠れろと言い聞かせます。
その無邪気さがやがて命取りになることをジョージは
予感していたのように。

新しい農場での老人と老犬のエピソードが泣けます。
仕事仲間は老いぼれて病気がちな犬の悪臭に耐えかね
老人に苦しまないで殺める方法を教えるのです。
そんな真似はできないと拒む老人に代わり
仲間のひとりが犬を処分してしまいます。
「犬の最期を他人に任せたのは間違いだった」と
後々悔やむ老人の姿が哀しいです。

新しい農場では力持ちのレニーは重宝がられ、
その様子を微笑みながら見守るジョージ。
この穏やかな日がずっと続きますようにと祈りたくなります。
でも、新たな出会いはまた次のトラブルの火種となりました。
望まない結婚生活に不満を抱く雇い主の息子の若妻です。

レニーは柔らかくて愛らしいものが大好き。
ぎゅっと抱きしめたいだけなのに、力の加減を知らないレニーは
大切なハツカネズミも子犬も死なせてしまいました。
馬屋の干し草の陰に死んだ子犬を隠そうをするジョージ。
それを雇い主の息子の若妻に見つかってしまいます。
ジョージからあの女には決して近づくなと厳しく
言われていました。
馬屋でふたりっきり、女はレニーに言います。
「あんた、頭がおかしいのね。でもいい人みたい。
柔らかいものを触りたい気持ちは分かるから
髪を触ってごらん」
レニーの大きな指が女の髪を撫で始めました。
が、レニーの指は次第に髪にくい込んで、
怯えて騒ぎ出す女を更に愛おしむように強く抱きしめて、
レニーは誤って女を死なせてしまうのです。

姿を消したレニー。
見つかればリンチを受け、殺されてしまいます。
男たちは銃を手にレニーを捕まえに行きました。
ジョージは約束通り川縁の茂みに隠れていたレニーを見つけます。
「おら、また困ったことやっちまった」
「いいんだよ、そんなこと」ジョージにレニーを責めることは
もう出来ませんでした。
レニーはまた何度も聞いたウサギの話をジョージにせがみます。
ジョージは「川の向こうを見てろ、まるで目に見えるみてえにな」
と言いながらレニーの後ろに回って夢の話をし始めました。
そしてレニーの表情が幸せに満ちた瞬間・・・銃声。
それは「犬」の時に聞いた苦しまない方法。
愛するがゆえに選んだ衝撃的な結末。
愛するものの死を他人の手に委ねたくなかったジョージ。
「老人と老犬」は「ジョージとレニー」そのもの。
悲劇なのにどこか「救い」が感じられたのは、
ジョージのレニーに対する深い愛が
全編にわたって感じられたからでしょう。
そうするしかなかったのです。

社会の底辺で生きる普通の幸せすら叶わない人達の悲哀。
ジョージ役のゲイリー・シニーズの鋭く哀しい眼差しと
レニー役のジョン・マルコビッチの絶妙な演技が光ります。
黄金色の農場を舞台に展開する切なくてやるせない物語。
レニーの無垢な笑顔がいつまでも心に残る素晴らしい映画でした。

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こちらは、スタインベックの原作です。(新潮文庫)
映画は原作にかなり忠実に描かれていると思いました。
映画の原作超えは難しいと言われますが
どちらも素晴らしい「二十日鼠と人間」でした。 


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ありがとう、ふーテトママさん、ふーくん。

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by ishikoro-b | 2011-11-22 02:20 | 映画 | Comments(4)