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石ころコロコロ

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カテゴリ:絵本( 4 )

高倉健さんの「南極のペンギン」

高倉健さんが逝ってしまって寂しいですね。
訃報を知り、昔読んだ健さんの絵本エッセイ
「南極のペンギン」のことを思い出しました。
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映画の撮影で世界を回った健さん。
旅をして、見たもの、感じたことが健さんならではの
やさしい言葉で綴られています。
唐仁原教久さんの素朴で温かな絵も健さんの文章に
彩りを添えています。
この本との出会いは本屋さんの文庫本コーナーに並んでいた
ペンギンと健さんの後ろ姿の表紙があまりに素敵で
思わず買ってしまったのでした。

表題作の「南極のペンギン」をはじめ「アフリカの少年」
「ハワイのベトナム料理人」など、十のエポソードで
綴られていますが、どの作品からも健さんが本当に美しいと思うもの
大事に思っていることがよく伝わってきます。
そして何より、人に対しても動物に対しても敬意を忘れず
けっして相手の生活や心の中に踏み込んだりしない。
少し離れた所からの温かいまなざしに健さんの気品を感じます。

私はこの本の最後の「沖縄の運動会」というお話が好きでした。
沖縄の島で偶然出会った運動会を島人と一緒になって応援する健さん。
子供たちの活躍に惜しみない拍手を送りながら
拍手はされるより拍手するほうがずっと心がゆたかになると
感じるのでした。
大スターという重圧や孤独を背負って生きていた健さん。
ひたむきに生きる人たちとのふれあいが
健さんの人生を支えてきたのだと思いました。

その島は夜空の美しい島でもありました。
健さんはその小学校の子供たちに望遠鏡をおくります。
先生から礼状が届いて、健さんはいいことをしたと
思っていたのだそうです。
それから機会があって健さんはまた小学校を訪ねました。
花壇に囲まれた校舎や掃除がゆき届いた教室や廊下を見て
健さんはこの島の子供たちは望遠鏡なんかなくても
十分ゆたかなのだと感じるのです。
そして「ぼくは望遠鏡をおくったことを少し後悔した」と
文章を締めくくってありました。

その最後の一行に私は健さんの深さ、大きなやさしさを感じました。
自分の行為を少し恥じる謙虚な健さんの心が本当に美しいです。
これこそが健さんの美学・・・
こんな旅人でいたいものです。

高倉健さんのご冥福をお祈りいたします。

☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2014-11-27 22:37 | 絵本 | Comments(0)

絵本 月夜のみみずく

一月の終わりに芥川龍之介の短編「蜜柑」のことを
書きましたが、私にも蜜柑の素敵な思い出があります。
私が生まれ育ったのは山間の小さな村。
通った幼稚園はお寺の境内にあって、
山を下って子供の足で片道45分もかかりました。
大雪が降った日、父が幼稚園まで迎えに来てくれました。
その頃はまだ庶民の暮らしに車などありませんでしたから
雪道をふたり歩いて帰ったものです。
冬の雲のような分厚い外套の父の背中を追いながら
ザクザク雪を踏みしめて歩いていると、
ふと足元の雪の中に蜜柑が落ちているではありませんか。
真っ白な雪と鮮やかな蜜柑のコントラスト・・・
それは父が私のために落としてくれたサプライズ。
拾い上げた手のひらの蜜柑と振り向いた父の笑顔。
どんなに小さな心がときめいたことか・・・
たったそれだけの小さな小さな思い出だけど、
私の心にお日様の色を落としていった、
そんなやさしい父が私は大好きでした。

ま、私の話は置いといて・・・

今日紹介する絵本は、父さんと女の子の物語
「 月夜のみみずく」です。
作 ジェイン・ヨーレン 絵 ジョン・ショーエンヘール 
訳 工藤直子
ワクワクドキドキすることの素晴らしさを
静かに感じさせてくれる絵本です。
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冬の夜ふけ、月の光に照らされて
女の子は父さんとみみずく探しに出かけます。
しんしんと冷えて静まりかえる雪の森。
雪を踏む音、ふたりの足跡、木の影に怯えながら
女の子は父さんの後を付いていきます。

女の子の心の動きがイキイキと伝わってくる詩は
まるで音楽のよう。
ブルーを基調とした絵は森の静謐さを醸し出し
描き残しの技法で描かれた雪の白も美しいです。

父さんはみみずくに呼びかけた
ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーーーう
けど返事はない。
なかなかみみずくには会えません。

にいさんたちが いってたもの
あえたり あえなかったりする・・・
それが みみずくなのさって

がっかりしながらも、またどんどん歩いて・・・

やがて父さんがもの音を聞きつけて呼びかけた。
ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーーーう
みみずくも
ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーーーう
大きな木の影からみみずくのかたちの影がふわり。
そして静寂を破るかのように現れるみみずくのアップの絵。
羽音も聴こえてきそうな迫力です。

ワクワクドキドキしながら、みみずくに出会えた嬉しさ。
そして大自然に立った誇らしさ。

もう おしゃべりしても いいのだけれど
もう おお声で わらっていいのだけれど
なんだかドキドキがつづいてて
わたし 影みたいに しんみりあるいた・・・

女の子の静かな感動が、ひとひらの雪が解けていくように
私の心の中に満ちていきました。

みみずくに あうときは
おしゃべりは いらないの
さむさも へっちゃらなの
あいたいな あえるかなって
わくわくするのが すてきなの
それが とうさんに おそわったこと
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やさしくて大好きな父さんとの思い出。
生涯忘れられない女の子の思い出は
私の大切な宝物の絵本となりました。

☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2012-02-15 17:31 | 絵本 | Comments(4)

絵本 ポテト・スープが大好きな猫

今日は北風の強い一日でした。
そんな寒い夜には、温かいポテトスープでいかがでしょう。
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そして傍にこんな絵本があったら幸せです。
アメリカの絵本「ポテト・スープが大好きな猫」を紹介します。
作 テリー・ファリッシュ 絵 バリー・ルート 訳 村上春樹
(訳者の名前が原作者より大きいのはちょっと反則?)
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おじいさんと、おじいさんが作ってくれるポテトスープが
大好きな老雌猫の心温まるお話です。
訳者の村上春樹さんがアメリカの街を歩いていて
偶然みつけた絵本で「うん、これはいいや」と買って帰り、
そのまま机に向かって翻訳したのだそうです。
そして大好きなお友達、ブログ「猫日和。キルト日和。」の
ふーテトママさんが名古屋の本屋さんで見つけ
「うん、これはいいや」と買って帰り、
猫大好きな私にプレゼントしてくれたのでした。

表紙のおじいさんと茶猫の絵が心を掴みます。
雲の動きがいいです。
ボートの舳先に座ってまっすぐ前を見つめる猫。
頼もしく見えますが、おじいさんにとっては
実は魚一匹、ねずみ一匹捕まえられない役立たずの猫。
それでもかけがえのない大切な人生の相方でした。
湖に釣りに行くのがふたりの共通の楽しみでした。

お互い必要としながら素直に気持ちを伝えられない
おじいさんと老猫。
この距離感が絶妙、大人の絵本です。
裏表紙はこんな感じ。
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ある日おじいさんは電気毛布を持ち帰りました。
電気毛布の上で気持ちよく眠る年老いた猫は朝が来ても
起き上がる気持ちになれませんでした。
おじいさんはあきらめてひとり魚釣りに行きました。

湖におじいさんひとりのボート。
冬の霧が深くたれこめた湖の絵が息を呑むほどの美しさです。
おじいさんが家に帰ると猫の姿がありませんでした。

何日か経って足取りも重く寂しそうな顔で家に帰ると
そこに猫が待っていました。
前足には大きな魚をぎゅっと押さえて。
大きな口を開けて「うぉーん」と鳴き、
一所懸命おじいさんに手柄を説明しました。
おじいさんには何を言っているのか
さっぱりわかりませんでしたが
すっかり感心して心を痛めました。

これからはお前を置いていかないよと
おじいさんは猫に約束しました。
この猫はもう年をとり過ぎたんじゃないかと
おじいさんは思ったのでした。

おじいさんと老猫に残された時間を思うと
涙がこぼれそうになります。
どうぞ一日でも長くふたりの生活が続きますようにと
祈らずにはおれませんでした。

ふーテトママさんちの愛猫テトちゃんは
絵本の猫にそっくりなんです。
写真はブログ「猫日和。キルト日和。」からお借りしました。
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ふーテトママさん。
素敵な絵本をどうもありがとう。

☆ ☆ ☆

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by ishikoro-b | 2012-01-12 01:49 | 絵本 | Comments(0)

絵本 ボイジャーくん

今夜は中秋の名月です。
夜空を眺めながら大切な人のことを思うって素敵なことですね。
私はボイジャーのことを思い出しました。
1977年アメリカが打ち上げた惑星無人探査機のことです。
木星や土星など惑星の写真撮影・観測の任務を終えた後も
知的生命体に人類のメッセージを伝えるべく、地球上の
様々な言語や音声が記録されたゴールドディスクを乗せて
太陽圏の果て、地球から最も遠いところを今も旅しています。

ボイジャーく〜ん・・・どこにいるの?

いました、いました。
玉野市八浜、児島湖のほとりの「451ブックス」という
小さいけれどとっても素敵な本屋さん。
ドアを開けたらすぐ正面の棚に「やあ」って。
会いたかった「ボイジャーくん」がいました。
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遠藤賢司さんの温かい詩と荒井良二さんの宇宙の絵、
なんとも愛らしいボイジャーくん。
それは大きなやさしさに満ちた絵本でした。

「君がとてもかなしくてねむれない夜には・・・」
地球を飛び出したボイジャーくんが
土星の輪くぐりをしたり
天王星のオーロラをよじのぼったりの
宇宙大冒険の話を聞かせてくれます。
「いつでも僕はここにいるからね」
ボイジャーくんの最後の言葉が
静かに胸に沁み入りました。

嬉しいのは宇宙一のCD付き。
遠藤賢司さんの歌声に耳を澄ますと
ボイジャーくんと一緒に宇宙空間を旅しているような、
なんだかやさしい気持ちになれるから不思議です。

音もない真空の宇宙をひとりぽっちで旅するボイジャーくん。
夜空がこんなにも愛おしいのは君がいるからかも知れません。

おまけのベランダからの名月です。↓
明るすぎてうさぎの餅つきは写りませんでした。
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by ishikoro-b | 2011-09-12 22:51 | 絵本 | Comments(6)