ブログトップ

石ころコロコロ

ishikorog.exblog.jp

<   2012年 01月 ( 12 )   > この月の画像一覧

芥川龍之介の「蜜柑」

今週はもう節分。
ミカンの季節もそろそろ終わりですね。
テーブルの上のミカンを眺めていたら
ふと、昔読んだ芥川龍之介の「蜜柑」という短編の
ことを思い出しました。
ちょっと大袈裟ですが、この小さな作品が
純文学などあまり読んだことのなかった私に
文学の原体験ともいうべき感動をもたらせてくれたのです。
a0223379_23375921.jpg

物語は・・・

主人公の「私」は言いようのない疲労と倦怠を抱えて
二等客車に乗り発車を待っていました。
どんより暗いプラットホームの景色は
主人公の陰鬱な心の内そのもの。
発車の笛が鳴ったと同時に、けたたましい下駄の音が聞こえて
十三、四の見窄らしい小娘が「私」の前の席に乗ってくるのです。
膝の上には風呂敷包み抱え、その霜焼けの手には
三等の切符を握って・・・
下品な顔立ちと不潔な身なり、そして二等と三等の区別さえ
わからない愚純な心を「私」は軽蔑します。

気を逸らそうと夕刊を広げてみたけれど
世間はあまりに平凡な出来事ばかり。
田舎者の小娘と平凡な記事の夕刊と・・・
これが退屈な人生の象徴でなくてなんであろう。

一切がくだらなく思えて、窓枠に頭を齎せてうつらうつら。
ふと気が付くと、いつの間にか小娘は「私」の隣に席を移して
しきりに窓を開けようとしているではありませんか。

汽車がトンネルになだれ込むと同時に窓が開きます。
煤を溶かしたようなどす黒い煙に激しく咳き込む「私」
それでも窓から外へ首を伸ばして前を見てる小娘。

トンネルを抜けた時、状況は一転します。
貧しい町はずれの踏切の柵の向こうに
背が低く貧しい身なり3人の男の子が立っていて、
彼らは皆で汽車が通り過ぎるのを仰ぎ見ながら
意味のわからない喚声をほとばしらせていたのです。
その瞬間、子供らの上に空から暖かな日の色に染まった
蜜柑が五つ六つ・・・

「私」は刹那に一切を了解するのです。
奉公に行く姉が弟たちの見送りを労っているのだと。
a0223379_2393852.jpg

疲労と倦怠と退屈な人生の中の一瞬のきらめき。
車窓に通り過ぎた一瞬の出来事が心を解き放ちます。
重苦しいモノトーンの世界と
鮮やかな蜜柑の色の対比の素晴らしさ。
奉公に行く貧しい娘の悲しさがより物語を深く美しくして、
何度読み返しても飽きることがありません。
文庫本の短編集の中の6ページほどの作品なのですが、
情景と心情の描写が本当によく書けていて、
やっぱり芥川龍之介って凄いな、
日本語って美しいな、
これぞ純文学、ホント透き通ってるわと、
たまにはまじめに本を読まなくてはと思ったのでした。

小説の蜜柑のイメージにはほど遠い写真でごめんなさい。
子供の頃はバナナもそうですが
お正月には蜜柑ひとつが贅沢でした。
そんなことを思い浮かべながら今季最後の蜜柑をいただきました。
皆様もビタミンCを補給して寒い冬を乗り切って下さいね。
a0223379_2311976.jpg

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-29 23:49 | 文学 | Comments(0)

冬のチューリップ

大寒の日は私の誕生日でした。
誕生日は部屋を暖かくしてDVD映画鑑賞。
懐かしいフランス映画を観ていたら
重要なシーンではないけれど
さりげなくお花を抱えて街を歩く女性の姿に
目が留まりました。
それはきっと生活の中に飾るお花。
普段ありそうでなかなか見かけない光景にハッとなりました。
なんて素敵なパリの街角・・・
日々の暮らしに花を、心に花を・・・ですね。
a0223379_16385291.jpg

そんなことを考えていたらインターフォンがピンポーン。
ドアを開けると「お誕生日、おめでとう」
お友達、ブログ「猫日和。キルト日和。」のふーテトママさんが
赤いチューリップを抱えて立っていたのでした。
北風と赤いチューリップと彼女の笑顔・・・
まるで映画のワンシーンのように素敵で、
忘れられない誕生日となりました。
a0223379_16402392.jpg

a0223379_16382331.jpg

a0223379_1638713.jpg

a0223379_16374454.jpg

a0223379_1639559.jpg

ありがとう、ふーテトママさん。

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-25 18:20 | 日々是好日 | Comments(0)

冬枯れの野道を行けば

一見、何もないような冬枯れの野。
マクロレンズで覗いてみると、枯れて尚、
気品を漂わせて凛と立つ野の草花の姿がありました。
a0223379_2327598.jpg

a0223379_23332755.jpg

a0223379_23321867.jpg

a0223379_23274144.jpg

a0223379_2334528.jpg

a0223379_23271195.jpg

a0223379_23323524.jpg

見上げれば春の到来を告げる蝋梅の花が。
a0223379_23334795.jpg

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-24 00:52 | 冬の野の花 | Comments(0)

光る海と河口の町で

そうだ、海へ行こう!
BESSA R3sにフィルムを詰めて、車で約30分。
岡山市児島湾沿いの百間川河口付近をブラカメしました。
風は強く冷たいけれど、日差しは眩しいくらい。
ユリカモメと共に冬の光に包まれました。
a0223379_19272783.jpg


a0223379_19281561.jpg


a0223379_1932541.jpg


a0223379_1929456.jpg


a0223379_19292968.jpg


a0223379_1930393.jpg


a0223379_1930237.jpg


a0223379_19481987.jpg


a0223379_19305641.jpg

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-20 00:16 | 冬の旅 | Comments(2)

映画 男と女

1966年のフランス映画、クロード・ルルーシュ監督作品
「男と女」をDVDで鑑賞しました。
何年経っても色褪せない永遠の名画です。
a0223379_2284660.jpg

悲しい過去をひきずりながら惹かれ合う男と女・・・
何度も観ていると、あらすじはどうでもいい感じ。
物語というよりこれは「詩」ですね。
ダバダバダ~ダバダバダ~♪
おなじみのフランシス・レイの音楽に身を委ねて、
ただただ美しい映像詩に満たされた至福の時間でした。

観る度に印象に残るシーンが違うのは
私も大人になったというか、成長しているというか。(遅い!)
歳を重ねた今、映画をより深く鑑賞できのは嬉しいことです。

私が好きなのは海辺のシーンでしょう。
ひとりの男性が犬を連れて海岸沿いの歩道を歩いています。
哀愁を感じさせる男と犬の芸術的なシルエット。
それをふたりが静かに眺めています。

女「いいわね、男と犬・・・足どりも同じ」
男「ジャコメッティの彫刻は知ってる?」
女「ええ、素敵だわ」
男「彼はこう言った。”火事になったらレンブラントの絵よりも
  猫を救う”」
女「”そして後で放してやる”・・・すばらしいわ」
男「そうだね。”芸術よりも人生”をだ」
女「感動的だわ。なぜジャコメッティの話を?」
男「あの男性を見ていたらなんとなく・・・」

芸術よりも人生を・・・リアルこそが人生なんですね。

男と女の揺れる心象を映すような美しい海辺を背景に
さりげない会話が詩のように重なって
ふたりの心がひとつになって共鳴していくのです。

映画ってすばらしい!人生って本当にすばらしい!


↓おまけの在りし日の男と女。背景は鳥取の北条砂丘です。
a0223379_1411159.jpg

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-18 02:56 | Comments(0)

星降る里の冬の午後-2

前回に引き続きNIKON F3で切り取った
美星町の冬の風景です。
a0223379_14113449.jpg


a0223379_14111210.jpg


a0223379_1427641.jpg


a0223379_1425529.jpg


a0223379_14103713.jpg


a0223379_14115143.jpg

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-16 15:03 | 冬の旅 | Comments(0)

星降る里の冬の午後

私のふるさとのすぐ近く、岡山県美星町は
美しい星空で有名な町。
「晴れの国岡山」は天体観測にも適していて、
このあたりには美星天文台、国立天文台、
そして安倍晴明が天体観測した山もあります。
夜がロマンチックなのはもちろんのこと、
昼間の美星の山にも自然とホッと和む人の暮らしあって、
私の大好きな場所なのです。
NIKON F3で美しい星屑の風景を切り取りました。
a0223379_1410423.jpg


a0223379_15412815.jpg


a0223379_15372124.jpg


a0223379_14114550.jpg


a0223379_1412260.jpg


a0223379_1410218.jpg


a0223379_15302957.jpg

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-13 15:33 | 冬の旅 | Comments(4)

絵本 ポテト・スープが大好きな猫

今日は北風の強い一日でした。
そんな寒い夜には、温かいポテトスープでいかがでしょう。
a0223379_22161324.jpg

そして傍にこんな絵本があったら幸せです。
アメリカの絵本「ポテト・スープが大好きな猫」を紹介します。
作 テリー・ファリッシュ 絵 バリー・ルート 訳 村上春樹
(訳者の名前が原作者より大きいのはちょっと反則?)
a0223379_1595045.jpg

おじいさんと、おじいさんが作ってくれるポテトスープが
大好きな老雌猫の心温まるお話です。
訳者の村上春樹さんがアメリカの街を歩いていて
偶然みつけた絵本で「うん、これはいいや」と買って帰り、
そのまま机に向かって翻訳したのだそうです。
そして大好きなお友達、ブログ「猫日和。キルト日和。」の
ふーテトママさんが名古屋の本屋さんで見つけ
「うん、これはいいや」と買って帰り、
猫大好きな私にプレゼントしてくれたのでした。

表紙のおじいさんと茶猫の絵が心を掴みます。
雲の動きがいいです。
ボートの舳先に座ってまっすぐ前を見つめる猫。
頼もしく見えますが、おじいさんにとっては
実は魚一匹、ねずみ一匹捕まえられない役立たずの猫。
それでもかけがえのない大切な人生の相方でした。
湖に釣りに行くのがふたりの共通の楽しみでした。

お互い必要としながら素直に気持ちを伝えられない
おじいさんと老猫。
この距離感が絶妙、大人の絵本です。
裏表紙はこんな感じ。
a0223379_21071.jpg

ある日おじいさんは電気毛布を持ち帰りました。
電気毛布の上で気持ちよく眠る年老いた猫は朝が来ても
起き上がる気持ちになれませんでした。
おじいさんはあきらめてひとり魚釣りに行きました。

湖におじいさんひとりのボート。
冬の霧が深くたれこめた湖の絵が息を呑むほどの美しさです。
おじいさんが家に帰ると猫の姿がありませんでした。

何日か経って足取りも重く寂しそうな顔で家に帰ると
そこに猫が待っていました。
前足には大きな魚をぎゅっと押さえて。
大きな口を開けて「うぉーん」と鳴き、
一所懸命おじいさんに手柄を説明しました。
おじいさんには何を言っているのか
さっぱりわかりませんでしたが
すっかり感心して心を痛めました。

これからはお前を置いていかないよと
おじいさんは猫に約束しました。
この猫はもう年をとり過ぎたんじゃないかと
おじいさんは思ったのでした。

おじいさんと老猫に残された時間を思うと
涙がこぼれそうになります。
どうぞ一日でも長くふたりの生活が続きますようにと
祈らずにはおれませんでした。

ふーテトママさんちの愛猫テトちゃんは
絵本の猫にそっくりなんです。
写真はブログ「猫日和。キルト日和。」からお借りしました。
a0223379_22143679.jpg

ふーテトママさん。
素敵な絵本をどうもありがとう。

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-12 01:49 | 絵本 | Comments(0)

グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独

今年最初の映画は劇場で・・・
「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」を観ました。
a0223379_14565443.jpg

ちょっと引いてしまう副題は期待してはいけないのサイン?
ドキュメンタリーとしては過去BSで放送されたのを
観ていたせいかあまり目新しい発見はありませんでした。
彼を愛した女性たちの証言から愛と孤独?
このアプローチも興味深いけれど、
グールドの本質はもっと別の所にあるような
美学とか音楽観とか宇宙観とか・・・
もう少し掘り下げてほしかったような気がしました。

昨年秋に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏も
「クレージー」な人でしたが、
グレン・グールドもクラシック界の異端児、
「クレージー」な人でした。

恋人のひとり、チェリストのフレッド・チェリの言葉が
天才グールドをうまく表現していて印象的でした。
「グールドだけが作品と作曲家の内面に侵入し、その反対側に
突き出た。作曲家に対する共感を通り越し、作品を完全に
乗っ取っていた」と・・・

並み外れたテクニックと芸術性。
初アルバム「ゴルドベルク変奏曲」で天才ピアニストとしての名を
世界中に知らしめたグールド。
しかし32歳の人気絶頂の時に突然コンサート活動中止を宣言。
聴衆の前から姿を消します。
語り伝えられる特異なこだわり、奇行の数々・・・
父親特製の極端に低い椅子で鼻歌まじりに鍵盤を叩き
指揮までする演奏スタイル。
極度の寒がりと潔癖性で夏でも厚手のセーターに
手袋をはめていました。
そしてコンサートのドタキャンなど・・・
これらすべて彼が音楽に誠実であったからこそ。
「音楽が世俗から僕を守ってくれる」
選ばれた人にとって俗世間はさぞ息苦しかったことでしょう。
50歳で亡くなるまでをレコーディングスタジオにこもり
録音による独自の音楽芸術を極めていきました。

グールドが後世に残した最後の録音は
奇しくもデビュー・アルバムと同じ「ゴルトベルク変奏曲」
でした。
a0223379_15332440.jpg

ゴルトベルグで現れ、ゴルトベルグで逝く。
アリアに始まりアリアで終わる美しいアルバム構成も
無限に繰り返される大きなの意志のようなものを感じさせます。
惑星探査機ボイジャーにも人類の音楽のひとつとして
グールドのバッハ「平均律クラヴィーア曲集」が選ばれました。
神様への美しい音楽の捧げものです。

ドキュメンタリーとしては物足りなかったけれど、
ゴルトベルク変奏曲の調べに魅了された一時でした。
こんな映像が残されていて
何度でもクールドに会えることに感謝。
天才はカッコイイ!!!
ピアノの「田園交響曲」も、もっと聴きたかったです。

さっき外に出たら、素敵な満月。
うさぎの餅つきが、ピアノを弾いているグールドに
見えました。

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん、
今年もどうぞよろしくね。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-09 16:14 | 映画 | Comments(2)

初春の風に吹かれて

冬眠中だったNIKON F3を起こして
透き通った冬の空気を呼吸してきました。
岡山県美星町で切り取った風景です。
a0223379_15101343.jpg


a0223379_15103248.jpg


a0223379_1584711.jpg


a0223379_15122093.jpg


a0223379_1511192.jpg

☆ ☆ ☆

ランキングの応援に駆けつけてくれた
ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん、
今年もどうぞよろしくね。
ふーくんバナーをクリックすると
きっとあなたにもいいことが・・・

にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ

応援ありがとうございます。
[PR]
by ishikoro-b | 2012-01-07 00:01 | 冬の旅 | Comments(2)