岡山県立美術館で開催中のベン・シャーン展を観てきました。
観てよかった・・・ 絵の力、芸術の力を改めて感じさせられた展覧会でした。 ![]() ベン・シャーン展はこれで2度目。 1981年の「国吉康雄/ベン・シャーン展」から 30年の月日が経ったことに驚きます。 その時に強く印象に残ったのが「二十羽の白い鳩」という作品。 ビキニ環礁水域でのアメリカの水爆実験により被曝した マグロ漁船第五福竜丸の悲劇をモチーフに制作された 「ラッキー・ドラゴン・シリーズ」の中の一枚でした。 広島、長崎の原爆投下に絶望したベン・シャーンは 50年前にすでに核や原子力が抱える人類規模の問題を 絵によって告発していたのです。 画面の半分以上を埋め尽くす白い鳩と 悲しみに耐える子供の姿がずっと記憶の片隅にありました。 「二十羽の白い鳩」 1981年の「国吉康雄/ベン・シャーン展」の目録より。 ![]() 今回の展覧会で「二十羽の白い鳩」の展示はありませんでしたが 「ラッキードラゴン」と題された大きな絵に圧倒されました。 第五福竜丸の乗員・久保山愛吉さんを描いたものです。 死の灰を浴びた男がベッドに腰掛けて持つ一枚の紙きれ。 書かれていたのは名前や漁師であること。 キノコ雲の下を航海中に被曝したこと。 なにが起こったのかわからなかったこと。 そして最後の「私は放射能症で死にました」は衝撃でした。 シリーズの最後にもう一枚印象深い絵がありました。 「なぜ?」とタイトルを付けられた作品です。 キノコ雲を彷彿させる久保山愛吉さんのお墓に置かれた 一輪の美しい菊の花。花の白さが心に沁みました。 なぜ?・・・ベン・シャーンの言いようのない怒りと悲しみは そのまま私たちの気持ちと繋がっていきます。 久保山愛吉さんのために手向けられた白い菊の花は 今、私たちの心を鎮めてくれるような気がしました。 ![]() ベン・シャーン最晩年の作品、 リルケ「マルテの手記」より「一行の詩のためには・・・」は リトグラフによる詩画集でした。 豊かな人生経験から生み出されるひとつの芸術。 多くを削ぎ落としたシンプルな線は静かに多くを語ります。 「ひとつの作品を生み出すためには・・・」 ベン・シャーンが最後に辿り着いた美しい境地に 感動せずにはおれませんでした。 「一行の詩のためには・・・」の表紙の絵が使われた ガラス越しのポスターです。 ![]() 社会の不正に目をそらすことなく 社会の底辺で生きる人々の魂の美しさと孤独を 温かいまなざしで描き続けたベン・シャーン。 上のチラシの絵「W.P.A.サンデー」や「解放」など どの作品も人間愛に満ち、深く胸を打つものばかりでした。 岡山展は5月20まで。さあ急げ! ☆ ☆ ☆ ランキングの応援に駆けつけてくれた ブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。 ふーくんバナーをクリックすると きっとあなたにもいいことが・・・ ![]() 応援ありがとうございます。 ■
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by ishikoro-b
| 2012-05-16 00:13
| 日々是好日
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